サガンが自身を語ったこの本「私自身のための優しい回想」は、1984年にフランスのガリマール社から、日本では2年後の1986年に新潮社から朝吹三吉訳で、出版されています。日本で出版された直後に単行本で手に入れていますので、わたしの本箱では大分長く見かけている本の1冊になりました。
今回、読み直してみますと、「愛読書」という項目がおもしろかったです。サガンの10代の頃からの読書についてですが、13歳で「地上の糧」ジッド・14歳で「反抗的人間」カミュ・16歳で「イリュミナシオン」ランボーに出会ったとのこと。
とくにランボーの「イリュミナシオン」のあの「ぼくは夏の曙を抱いた。」で始まる詩をサガンは言葉をつくして、受けた衝撃を語っていますが、この部分は、わたしもこの詩には同じように感銘を受けたことがあるので、共感を持って読みました。
そして、サガンはついに、この特別な3冊の本の後、プルーストの「失われた時を求めて」に、出会ったのでした。それは夏休みで過ごした祖母の古い家の屋根裏部屋だったとのことです。
その後、サガンは「悲しみよこんにちは」で衝撃的なデビューをすることになるのですが、やはりプルーストが彼女の作家人生に大きな影響を与えていたのだと、再確認した読書でした。
「サガン」というペンネームは、「失われた時を求めて」に出てくる「Princesse de Sagan」からとっているとのことです。