2015年12月29日火曜日

むらさきの霜柱




 今朝は、一段と寒い朝でした。

 ぞくっとしながら朝、カーテンを開けて庭を見ますと、
やはり霜柱がたっていました。

 
 うちの庭で写した霜柱です。



 
よく見ると、壊れやすいガラス細工のような霜柱・・・。

 「きれい」と思わず言ってしまいました。!

 ざくざくと、霜柱を踏む音も、すてきです。



 むらさきは月の匂ひの霜ばしら

                 千代田葛彦


 千代田葛彦さんの句ですが、
わたしも「むらさき」を感じました。



 

 寒い朝だけに見せてくれる、冬からの贈物です。




2015年12月27日日曜日

読書・かげろうの日記遺文 室生犀星  講談社文芸文庫




 今年は暖冬のようで、まだ本格的な雪にはなっていませんが、今朝はこんな感じになって
いました。




 最近、また室生犀星の本を読みだしました。今回は、「かげろうの日記遺文」です。

 この本は、あの道綱の母が書いた「かげろうの日記」を題材にしているのですが、道綱の母には、紫苑という名を付けています。



 
 紫苑は兼家に求婚され結婚するのですが、兼家にはすでに本妻の時姫がいました。後にまた、名もない町小路の女も出て来ます。

 兼家をめぐるこの3人の女性の物語なのですが犀星は、この町小路の女に冴野という名をつけ主役にしています。




 犀星の生い立ちは複雑で、消息不明の生母のことを慕っていて、この町小路の女・冴野に母への思慕を込めたようです。

 犀星は、生母にあこがれをもち、機会をとらえては生母を知ろうとし、その人のことを物語ることを忘れないでもいるとも、書いていますから、薄幸の冴野に想い入れを深くして、物語ったのでしょう。




 それにしても、この物語の犀星の言語表現の巧みさには、驚きました。 川端康成は「言語表現の妖魔」と言ったということです。
 



   「かげろうの日記」は、堀辰雄も書いていて、読んだのですが、やはり、主役を町小路の女にした犀星の物語は独特で、わたしを惹きつけるものがありました。









 

☆旧青木家那須別邸    (ドイツの面影・・・)


 
  那須塩原市にある旧青木家那須別邸を訪ねてきました。

  旧青木邸の部屋には、ほっとするようなあかりがついていて、すてきでした。




 この家は、明治時代の建築ですが、いまは市に寄贈され道の駅も近くにあります。




 すてきな建物なので、家に帰ってから調べてみますといろいろと面白い発見がありました。



 
 この家を作ったのは青木周蔵で、彼は明治時代の外交官で政治家です。留学や外交官時代も含めると25年もドイツに滞在していたということです。




 ドイツでは、留学時代に100人を超える留学生を預かる総代をしていたそうで、医学部や法学部ばかりを勉強したがる留学生のひとりに、日本にはビールが必要と説得して学ばせたことがあるということです。

 それが実って、北海道にビールの醸造所ができたということですから、日本のビールは青木周蔵の功績といってもいいかもしれませんね。




 また、青木周蔵は、ドイツで大恋愛をして貴族の令嬢のエリザベートと結婚し、日本に帰国します。実は彼には日本に妻がいたのですが、手違いでまだ離婚が成立していなかったようで、後にこれも無事に解決できたということです。




 エリザベートとの間には、娘のハナさんが生まれています。周蔵とエリザベートは、この別邸に来るときには、黒磯駅で汽車をおり、一頭立のて馬車で来たということです。




 この杉並木を、一頭立ての馬車が、ぱかぱかと音をたててとおりすぎる姿が、目に浮かぶようでした。

 青木周蔵が作ったという青木小学校に招かれてハナさんの子孫の方が、ドイツから来日されたこともあったようです。

 帰りには、そばにある道の駅からの夕景がとてもすてきでした。












2015年12月25日金曜日

植物・冬薔薇(ふゆそうび)   心惹かれる冬の薔薇・・




 冬薔薇(ふゆそうび)という言葉がありますが、好きな言葉です。

 冬晴れの日などに、寒気の中、健気に空に向かってまっすぐに咲いている薔薇・・






  花びらを重たげにうなだれて、それでもまだ夢みて咲いている薔薇






 今年最後の薔薇を、コピスガーデンで見てきました。
 
 池では、アヒルが寒そうにはねに顔をうずめ





 午後の短い陽ざしは、木のベンチには、ゆったりと、やわらかく降り注いでいました。





 冬薔薇は、あとどのぐらいわたしたちを楽しませてくれるのでしょうか・・・・。

 厳しい季節に咲いてくれる冬薔薇に心惹かれます。


 





2015年12月23日水曜日

読書・ある小さなスズメの記録・クレア・キップス著



 「ある小さなスズメの記録」は、御茶ノ水の丸善書店に立ち寄ったときに見つけた
店員さんお薦めの小さなかわいい本です。




 かっては、世界的ベストセラーにもなったとのことで、著者は、クレア・キップスというイギリス人です。

 2015年の1月に梨木香歩さんの新訳で、出版されています。解説は小川洋子さん。

 この本は、著者のキップス夫人が巣から落とされた生まれたばかりの障害を持った雛のスズメを、スズメが老衰で亡くなるまでの12年間育てた記録です。




 スズメは、クラレンスと名付けられ、第二次大戦下のイギリスで、防空壕に入って怯えている人々を、けなげな芸でなぐさめたり、キップス夫人のピアノを聞いて歌うようになったり、晩年には病気の後、歌うのは忘れてもキップス夫人に哲学者のように、話し続けたということです。

 ペットは、わたしもゴールデン・レトリバーのサブを13年間飼ったことがあるので、キップス夫人の幸せだった12年間はよくわかるような気がしました。





 また、わたしの場合、ペットロスも大きかったので、キップス夫人の喪失感も充分に想像できました。

 スズメでも犬でもペットは、言葉はなくとも人間とこころで交流できるような思いを感じさせてくれ、それによってわたしたちに大きな喜びを与えてくれるかけがえのない存在です。

 そういえば、アントワープに住んでいたときに、家の2階のスペイン風の石のテラスに、1年間ぐらい毎日のように来ていたブラックバードがいました。




 わたしは、リゴーさんと名前をつけて毎日彼が来るのを楽しみに待っていました。

 リゴーさんは警戒心もまったくないので、前に住んでいた方が飼っていらしたのかと思ったほどですが、真っ黒なかわいい目が忘れられません。

 リゴーさんが訪ねてくれなくなった後も、いつまでもずっと待っていました。

 ゴールデンレトリバーのサブも、ブラックバードのリゴーさんも、どちらもいまは、わたしにとってすてきな良い思い出になっています。







  この稀有なスズメのクラレンスの記録は、わたしにとってはペットとの交流のかけがえのないすばらしさを思い出させてくれた本でした。







2015年12月19日土曜日

12年後のプレゼント!




 おもしろいプレゼントをいただきました。 来年の干支の猿の張子の人形です。




 ひょうきんなお猿さんの顔を見ていたら、あれっ?どこかで見たことがあると思い出し、




箪笥のひきだしにしまってあったのを出して比べてみましたら、何と同じ三春張子の猿の人形でした。



                  左が12年前


 この2つの猿の張子の人形の送り主は同じ福島の友人なのですが、最初の猿のプレゼントからもう、12年もたってしまったのですね。



                  12年前の猿くん

 12年前にいただいたのは、我が家でのクリスマス会のプレゼント交換のときでした。
 
 この張子の人形は、福島県の郡山で作られている郷土玩具の三春張子ですが、あの東日本大震災で原発事故がおき、被害を受けたところです。




 12年の間には、東日本大震災とあの原発事故、そして 彼女の人生もいろいろとあり、
今年のこのプレゼントなのでした。





 また、これからのふたりの12年後は、どうなっていることでしょう。
 ひょうきんなおとぼけの猿にそっと、聞いてみたのですが、

 もちろん、何も「いわざる」でした!!!


 

2015年12月18日金曜日

きょうの一枚 





 きょうの午前中は少し風があり、冬晴れの空からきらきらと雪片が舞っていました。

 車を運転していますと、あまりにも雲がきれいなので車を止めて、写真を写してきました。

 いかがでしょうか。
 こんな風景でした。


















 




   気温が低かったので、きらきら光って舞う雪片でしたが、もう少し気温が高くなるとしぐれになります。

 那須の高原に広がる牧草地。
 そのむこうに、葉を落とした裸の木々、
 真っ青な冬空、
 空に浮かぶ白い雲

こころが洗われるようで、好きな風景です。





 

2015年12月13日日曜日

読書・「朽葉色のショール」小堀杏奴 講談社文芸文庫   (枯れ葉の季節・・・)

   

 那須に戻りましたら、いつもの散歩する公園はこんな感じになっていました。




 小堀杏奴さんが書かれた本「朽葉色のショール」を読んだのですが、この季節にはぴったりな題名かもしれません。




 著者の小堀杏奴さんは、森鴎外の次女で姉は森茉莉さんです。

 森茉莉さんのエッセイはファンですのでたくさん読んでいたのですが、妹の杏奴さんの本を読むのはこれが初めてでした。




 この本はなぜか以前からずっと気になり、読みたいと思っていたのですが、先日、神保町の古本屋さんの店頭で美本を偶然に見つけ購入したものです。

 本を読んでみると杏奴さんと、茉莉さんはご姉妹とはいえ、まるでキャラクターが違うお二人でした。

 お父さまの鴎外も、やはりこのお二人のことを、「同じ子供でも、性格や物の考えかたがひどく違うものだね」
そしてまた、
「茉莉は記憶力に優れ杏奴は理解力に優れている」ともおっしゃっていたそうです。

 


 わたしがお二人の本から受けた印象は、茉莉さんは、耽美派で独特のご自分の世界を持っていらっしゃり、杏奴さんは、真摯に人生を生きていらっしゃる方ということでした。

 お二人ともに、プルーストの「失われた時を求めて」について書かれているのも面白く感じました。

 茉莉さんは、シャルリュス男爵の傲岸と冷徹から、世紀末の倦怠の美を甘い雫のように唇に受けることができると書いていらっしゃり、

 杏奴さんは、読書の愉しみという章で、プルーストと祖母の関係から死についての考察を真摯になさっているというふうに、お二人の個性の違いが出ています。




 この本の「朽葉色のショール」という題名は、お二人のお母さまがご自分で編んで使用していらしたショールのことです。

 お父さまの鴎外が亡くなられたあと、残されたご家族は、さびしい生活をなさっていたようです。



 この朽葉色のショールをかけたお母さまと、離婚して家に戻られていた姉の茉莉さん、
まだ未婚だった杏奴さん、そして身体の弱かった弟さんが揃って郊外にでかけたのが、
最後のお母さまとの思い出になったと書いていらっしゃいます。
 
 杏奴さんは、その後画家と結婚なさって一男一女の母になられ堅実で幸せな家庭を築かれているご様子が伺えます。

 この本は、杏奴さんの堅実であたたかいお人柄が偲ばれるような本でした。











2015年12月8日火曜日

カメのりくちゃん




 おだやかで暖かい日の午後などに、神田川の遊歩道を歩いていると、幸運な人は、赤い靴をはいたカメのりくちゃんに会うことができます。




 りくちゃんは、もう20年も生きているそうですが、この辺りでは、すっかり人気者です。



 りくちゃんは、とても甘えん坊で、お父さんの足にすりよることもあります。




 きょうは、お散歩のおやつに「小松菜」をいただきました。むしゃむしゃと食べておいしそう。りんごも大好きだそうです。




 りくちゃんが散歩していると大人気で、特におばさまたちにもてもてです。
 
 ゆっくりとマイペースで歩く、りくちゃんの姿に癒されるのだと、思いました。



2015年12月7日月曜日

丸の内イルミネーション2015





 もうすっかり、東京の冬の風物詩にもなっている丸の内のイルミネーションを見に行ってきました。

 トラくんのおとぼけのような目がかわいくて印象的でした・・。




 地下鉄の大手町でおりて、有楽町までの1,2kを歩いたのですが、200本の街路樹にイルミネーションが輝いていました。

 このイルミネーションは、エコイルミネーションで、太陽光や風力などの自然のグリーン電力が使用されているということですが、さすがと思いました。




  今年はまた、新しい趣向が凝らされていて、ドイツの田舎のクリスマスマーケットのようなかわいいお店が3軒並んでいました。




 このフクロウも、昨年はなかったようですが、毎年、新しい趣向を考えられているようで、楽しませていただきました。

 




 グリーン電力でのイルミネーションは、ほっとするような灯りで、こころまであたたかくなる感じがしました・・。