2021年4月25日日曜日

読書・「音楽の肖像」堀内誠一X谷川俊太郎・小学館

 

 友人からの紹介で読んだ本です。モーツアルトなど音楽家についての堀内誠一さんのエッセイと絵、それに音楽家についての谷川俊太郎さんの詩を添えたおしゃれな上質の大人の絵本でした。




 わたしが、その中でいちばん好きなのは、モーツアルトについての堀内誠一さんのエッセイでした。とくに最初の文

        「大陸の空は変わりやすくてジュピターが遊んでいるよう」

 には、そうだそうだと思わずほほえんでしまいました。わたしもヨーロッパには10年以上住んだことがあり、この気まぐれな天気には驚いたことが何度もありましたので・・。

 この気まぐれな天気のことを、堀内さんは、モーツアルトの交響曲41番の「ジュピター」と、ローマ神話の気象を司る神「ジュピター」にかけて、ジュピターが遊んでいると粋な言葉で、語られています。




 堀内さんは、モーツアルトには、こんな絵を添えていらっしゃるのですが、(上の写真です。)中央には神童と呼ばれた頃にクラヴィアを弾くモーツアルト、後ろにはヴァイオリンを弾く父のレオポルト、そして譜面の後ろには、姉のナンネルの姿も見えます。黄色と緑と赤のグラデーションがすてきで堀内さん独特のタッチの世界になっています。

 モーツアルトに添えた谷川俊太郎さんの詩は、彼のモーツアルトの音楽への愛がしみじみと感じられるこんな言葉で綴られています。

      「人を愛することの出来ぬ者もモーツアルトに涙する」

 わたしは、ショパンやブラームスも好きなのですが、モーツアルトの音楽は一番好きかもしれません。この本は、堀内さんの独特の色彩の軽いタッチの絵、そして、谷川俊太郎さんの詩も楽しめるすてきな本でした。



 午後のお茶の時間に、大好きなCD、アシュケナージの弾くモーツアルトのピアノコンチェルト19をBGMに、この本を読むのは、至福の時間になりました・・。







2021年4月13日火曜日

植物・2021年春の妖精・・・

 

 今年もスプリング・エフェメラル(Spring・ephemeral)が、あちこちで見られるようになりました。エフェメラルとは、はかないという意味なので「春のはかない植物」のことをいうようです。この辺りでは、3月の末のころに突然地上に芽をだしてあっという間に葉と花を咲かせ、夏までには、すっかり姿を消してしまうので、いつも驚いてしまいます。この花たちは、「春の妖精」とも呼ばれています。



 これは、白の「キクザキイチゲ」ですが、春一番にこのような純白の可憐な花を見ると、うれしくなってしまいます。まさに「春の妖精」と呼ぶのにふさわしい花だと思いませんか・・・。わたしは、開ききった花よりもこのぐらいの咲き具合が、好きです。

 キクザキイチゲは、うすむらさきのバージョンもあって、こちらもなかなかすてきですので、見てください。



 スプリング・エフェメラルは、カタクリ・セツブンソウ・フクジュソウ・イチリンソウ・ニリンソウ・キクザキイチゲ・エンゴグサ・エンレイソウ・キバナノアマナ・などなどあるのですが、わたしの住んでいる北関東のこの辺りでは、カタクリやイチリンソウの群落も見ることができます。下の花は、イチリンソウですが、なかなかキュートでかわいい花です。



 まだまだ、あちこちで春の妖精とも呼ばれる「スプリング・エフェメラル」は、見ることができますが、今年も咲いてくれたことに感謝です!





2021年4月5日月曜日

白河の桜いろいろ・・・

 


 4月2日の福島県白河市の小峰城の桜です。小峰城は、2011年の東日本大震災で石垣が崩れたのですが、2019年4月に修復も完了し今年も満開の桜といっしょにすてきな光景を見ることができました。




 小峰城は、1340年に結城親朝によって築城されたとのことですが、江戸時代に初代藩主の丹羽長秀が4年の歳月をかけて完成させたということです。日本百名城のひとつでもあり、東北では盛岡城と、若松城と、共に東北三名城になっているようです。

  それにしても、お城と桜は、とてもよく似合いますよね。

 「何とまあ、お城と桜の似合う事・・」と、思わずつぶやいてしまいました。

  



白河には、いつも見に行く樹齢400年と言われる「乙姫桜」があります。
「乙姫桜」は、ピンク色が濃いシダレザクラで、お姫様のふりそでのように艶やかです。3年ぶりに見たのですが、以前よりも枝がカットされていて、70%ぐらいの艶やかさでした。




 乙姫桜の子供の桜がありました。やはり、たぐいない乙姫桜の遺伝子を持っているようで、つややかに春の風に揺れている姿は、すてきでした。




♪春風の花を散らすと見る夢は
          さめても胸のさわぐなりけり・・・     西行

 これは西行の歌ですが、彼が慕っていた待賢門院のことを詠っていると言われています。この桜の雰囲気にはぴったりかなと思ったのですが、いかがでしょうか・・。

 西行は30歳の頃、歌枕を訪ねて陸奥・出羽の旅に、そして69歳のころ(1186年)に東大寺再建のための勧進に、平泉の藤原秀衡に会いに行くという2度のみちのくの旅に出ていますので、白河の関を通っています。

 その旅の途中に白河の関で詠ったという歌を今回知りました。こんな歌です。

   ♪白河の関路の桜咲きにけり
              東より来る人の稀なる         西行


 今年はコロナ禍のなかのさくら鑑賞でしたが、良い一日でした・・・。