2017年10月26日木曜日

リルケの秋



 
 落ちている木の葉を見ると、秋だなあとしみじみと感じます。
 リルケは、秋というすてきな詩を書いています。




・-・-・-・-・-・-・-・
 秋
                   リルケ

木の葉が落ちる 落ちる 遠くからのように
大空の遠い園生(そのふ)が枯れたように
木の葉は否定の身ぶりで落ちる


そして夜々には 重たい地球が
あらゆる星の群から 寂寥のなかへ落ちる

われわれはみんな落ちる この手も落ちる
ほかをごらん 落下はすべてにあるのだ




けれども ただひとり この落下を
限りなくやさしく その両手に支えている者がある
・-・-・-・-・-・-・-・
           引用 リルケ詩集 富士川英朗訳 新潮文庫 51p~52p





 ドイツの森を、秋に散歩したことがあるのですが、落ち着いた感じの紅葉だったように
覚えています。日本の秋の紅葉は、赤や朱色や黄色など、ひと際鮮やかな色あいで、お天気の良いきょうのような日は、散歩が楽しみになります。

 それにしてもリルケの「秋」、すてきですね。





2017年10月22日日曜日

雨の散歩道のすてきな紅葉!!!



 台風が近づいているようできょうも一日中雨のようです。昨日は雨の中、傘をさして散歩に出かけたのですが、あちこちで、雨に濡れたすてきな紅葉に出あいました。



 ガマズミの葉の紅葉。




  もみじのシックな色合いの紅葉!
  「すごい!」と、思わず言ってしまいました。


カラフルですね!



 最近気づいたことですが、紅葉をよく見ると、むらさき色が混じっているのが印象的です。わたしの好きな藤原良経の歌にも、むらさきが出てきます。

♪秋風の紫くだくくさむらに時失へる袖ぞ露けき
                      藤原良経


 この歌のむらさきとは、フジバカマということですが、紫とくだくという表現が、いつもすごい表現だなあとしみじみ思います。
 良経は、ときの政権から外された失意の中で、この歌を作っているのですが、くだくのが赤でも黄色でもなくむらさきなのですよね。
 むらさきはやはり、彼にとって大事な色だったのでしょうね・・。




むらさきがとても印象に残る紅葉でした。





2017年10月16日月曜日

リンドウが咲きました。



 
   うちの庭でも、リンドウが、咲き始めました。
 雨上がりの朝などは、特に紫とブルーの色あいが、すてきです。




リンドウは、昔から秋に咲く花として、日本人に愛されてきた花ですが、清少納言も、枕草子の中で、リンドウについて書いています。

枕草子の67・草の花はという段です。
・-・-・-・-・-・-・-・ 
龍膽(りんだう)は、枝ざしなどもむつかしけれど、こと花どものみな霜枯れたるに、いとはなやかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし。
・-・-・-・-・-・-・-・
          引用 枕草子 池田亀鑑校訂 岩波文庫 90p




 清少納言は、リンドウは、花がみな枯れてしまったころに、はなやかな色あいで咲くので、すてきと言っていますが、このブルーにむらさきが入っている花の色は、彼女の言う通りにほんとうにすてきです。




よく見ると、あちこちに、種が自然にこぼれ落ちたのでしょうか、とても小さな赤ちゃんリンドウが芽を出しています。



 こういう風にして、清少納言の時代から種が引き継がれて残ってきたのだと思うと、より愛おしく感じられます。

 今朝はそのリンドウの庭に、ツタウルシの紅葉した葉が、色とりどりに散っていてすてきでした。




 




2017年10月15日日曜日

きょうの一枚



 きょうの一枚です。
 雨が止んでいる少しの時間に散歩したのですが、雨に濡れているやさしい色の紅葉が、すてきでした!


 







2017年10月12日木曜日

駒止の滝のすばらしい紅葉!




 きょうは、息を呑むようなすばらしい紅葉を見ることが
できました。


 このような色の紅葉は、初めて見ました。
滝の周囲は、原色の紅葉で、手前は、パステルカラーの
やさしい色の紅葉になっていました。

 滝の幅は3m、落差は20mだそうですが、滝の上と下に
マリンブルーの滝つぼが見えていました。


 この滝には、那須平成の森のフィールドセンターから
歩いて30分で行くことができます。


 これは、フイールドセンターの中の様子ですが、おしゃれな
空間になっています。
 


フィルドセンターから駒止の滝に行く途中にあるあずまやです。



 ツキノワグマが出るので、注意の看板もありました。


  このような道を歩いて行くと、駒止の滝に着きます。
  駒止の滝は、滝を見ることが出来るように、観爆台が作ってありました。




  この駒止の滝には、数回行っているのですが、きょうのような
すばらしい紅葉を見ることができたのは、初めてでした。

 夢にまで出てきそうなすてきな紅葉でした!!!




 

2017年10月7日土曜日

茂吉のアケビ



 きょうは、散歩の途中で、うすむらさきに熟れた見事なアケビに
出あいました。
 

  アケビの実ふたつに割れてそのなかの
        乳色なすをわれは惜しめり
                       斎藤茂吉
 
という茂吉の歌がありますが、割れた実の中を覗きますと、乳色の実が
見えていました。


アケビは、2種類あり、うす茶色の実が「アケビ」で
うすむらさきに実が色づくのは、「ミツバアケビ」です。

 茂吉が短歌で詠ったのは、このうすむらさきになる「ミツバアケビ」
だと思います。


 
 斎藤茂吉は、山形県生まれですが、子供の頃に過ごした生家辺り
では、「アケビ」が、いっぱい採れていたのだろうと思います。
 アケビの花や実をいくつも詠っています。



 あけびの実我がために君はもぎて後
        そのうすむらさきを食ひつつゐたり

                  斎藤茂吉

 


 あけび一つ机の上に載せて見つ
        惜しみ居れども明日は食はむか
                       斎藤茂吉


 故郷の秋の味覚のアケビを、最初は見て楽しみ、その後に
ようやく惜しみながら食べるという子供のような茂吉の姿が
目に浮かぶような歌です。

 茂吉の故郷の山形でも、今頃はうすむらさきのアケビが、いっぱい
実をつけているのが見られると思います。







2017年10月6日金曜日

カズオ・イシグロさんノーベル文学賞を受賞!



 カズオ・イシグロさんが、ノーベル文学賞を受賞なさいました。
 わたしが英国に住んでいたときにブッカー賞をとられた
「The Remains of the Day」(日の名残り)を、
ロンドンの本屋さんで買ったのを、懐かしく思い出しました。


 英国を代表するような職業であるバトラー(執事)が主人公で、
以前に彼といっしょにお屋敷で働いていた女中頭のミス・ケントン
との、淡い恋愛のお話しです。

 辞書をひきながら読んでいたのですが、5歳のときから
英国に住むようになったカズオ・イシグロさんが、このような
英国の真髄とも呼べるような人々の想いを、書いていらっしゃるのには、
とても感服したのを覚えています。


 その後、翻訳でも読み、映画化されたものを観たりと、ますますこの本は
思い出の1冊になりました。

映画では、セリフなどもそのまま使用されていて、英国の
上流階級で話すアクセントの執事に扮したアンソニー・ホプキンズや
女中頭に扮したエマ・トンプソンの声がまだ耳に残っています。


 物語の最後のところのシーンは特に印象的でした。

 海辺の避暑地の桟橋のところで、夕刻に色付き電球が点灯されるのですが、
その瞬間に、そこにいた人々が歓声をあげるのです。

 懐かしいミス・ケントン(いまは結婚してミセス・ベン)と、つかの間の
再会の後、雨のバス停で別れたばかりの執事のミスター・スティーブンスは、
新しいお屋敷の雇い主であるアメリカ人のところで、どのように新しく仕事に
取り組んでいけばいいのか、新たな執事としての決意をするのでした。

 日本人としての心も持っていらっしゃるカズオ・イシグロさんの
ノーベル文学賞受賞は、うれしい出来事でした。








2017年10月5日木曜日

心づくしの十五夜



 今年2017年の十五夜は、10月4日でした。



 4日の夜、我が家の2階のベランダから、月がきれいに見えました。




 このまよりもりくる月のかげ見れば
        心づくしの秋はきにけり

  古今和歌集の秋に出てくる歌ですが、この歌を思い出すような月でした。
 「心づくしの秋」という言葉が、すてきです。

  実は先日の10月1日、一足早い「十五夜月見会」を、城下町白河の
翠楽苑でしてきました。



 翠楽苑の池に灯篭を浮かべたのを見ながら
季節の和菓子と抹茶をいただきました。







シャンソンのコンサートもあり、まさに心づくしの
お月見会でした。











2017年10月3日火曜日

片思いの花・ツリバナ



 ツリバナのかわいい実が、今年は豊作のようで、散歩していると
あちこちで、見られます。



 少しでも風があるとゆらゆらと揺れ、写真に写すのが難しいのですが、
きょうはかわいいツリバナの実の写真を写すことができました.

 下の写真は、数日前に別のところで、写した写真ですが、
蕾のときには、てまりのようにかわいらしい形をしています。



 ツリバナは、5~6月に、6~7ミリの淡緑色や淡紫色の小さな花を
咲かせるのですが、その花を見るといつも秋になってかわいい実を
下げるのが、楽しみでした。


 ツリバナの花言葉は、「片思い」だそうです。