2023年7月3日月曜日

読書・「定家明月記私抄 続篇」堀田善衛著 ちくま学芸文庫 



  ホタルブクロが咲き始めました。今年は花が咲くのが早いようで、梅雨空のもとで、ピンクに近いうすむらさきのランプシェードのような形の花を咲かせています。いつもこの花を見るたびに、ホタルを入れてみたくなるのはわたしだけでしょうか・・。




 定家明月記私抄に続いて続編を読みました。今回は前篇ほどにはわくわくしなかったのですが、堀田さんはやはり丁寧にご自分の解釈もいれ、明
月記を読まれています。

 前篇でもそうだったのですが、やはり続篇でも定家の生きた時代というものを、深く考えさせられてしまいました。

  堀田さんは、続篇の序で日本と西欧の13世紀初めの頃の比較文化論的なものを書かれているのですが、宗教や政治・音楽などは、相違点よりもむしろ似ている点の方が多いと言われているのは、バルセローナに長年住まわれていた堀田さんならではの見解かなとおもしろく感じました。




 「定家明月記私抄」と、「定家明月記私抄 続篇」の2冊を読んで一番印象深く思ったのは、定家の和歌が世界的レベルの詩であるという堀田さんの見識でした。

 定家の和歌は、新古今和歌集や塚本邦雄さんの著書の「定家百首」など数冊で馴染んでいたのですが、下記のこの韻歌百二十八首中のものは、知りませんでした。堀田さんが絶賛なさった定家のこの和歌はしばらく、心に残りそうです。

 雲さえて峯の初雪降りぬれば有明のほかに月ぞ残れる・・・・・

 そして、この和歌の堀田さんの解釈もすばらしく彼も詩人なのだと、しみじみと思いました・・・





 



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