♪移り香の身にしむばかりちぎるとて
扇の風の行方たづねむ
藤原定家
定家の歌に、こんなに色めいた歌があるとは
知らなかったのですが、塚本邦雄さんの著書
「定家百首・雪月花」と、「王朝百首」で
知りました。
塚本さんによれば、定家は恋歌の名手で、
この歌は29歳の時の作ということですが、
「王朝百首」には、こう書かれています。
「濃艶であってしかも爽やか、
肉感的であってしかも雅やか
その上に物語絵巻の一齣を見るかに
ロマネスクである」
塚本さんの文も、簡潔でしかも華麗、
定家の歌の本質を、見事に言い表していると
思いました。
定家は、職業歌人でしたが、塚本さんによれば
彼は「王朝貴族にはめずらしく、伝えられるほどの
醜聞もなく、恋歌はすべて創作」ということですので
この歌もそうなのでしょうが、さすがプロの歌です。
すばらしいですね!!!
0 件のコメント:
コメントを投稿