2015年8月5日水曜日

フシグロセンノウを見ると思い出すこと。


 きょうは、激しい夕立があったのですが、
雨上がりの林の下に、朱色のフシグロセンノウが
咲いているのを見つけました。


わたしはこの花を見る度に、いつも思い出して
しまうお話があります。

 それは、日本の名随筆の「花」に書かれていた
岡野弘彦さんの「ふしぐろせんのう」という話しです。

 岡野さんのお母様が、まだ7,8歳のころだったそうです。

 父親に連れられて実家の持山に入り、 うっそうとした
暗い杉林を二人でどこまでも歩いて行くと、崖がありました。


 下を見ると谷川で、若く美しい女の人が洗濯をしていました。
 その女の人は、冷たく透き通った水の中で、赤い花模様の
着物を洗っていたのですが、その指先までも見えたそうです。

 振り返って顔を見せて欲しいと、じっと待っていたのですが、
突然、山の上の方で父の呼ぶ声が聞こえました。
 
 はっと我に返ってよく見ると、もう、女の人の姿はどこにも
見えなかったということです。


 岡野さんのお母様の母上は、お母様が6歳のときに
亡くなられていたので、かなしい白日夢を見たのだろうと
岡野さんは書かれていました。

 そのお母様が好きだった花が、このフシグロセンノウ
ということです。


  フシグロセンノウは、林の下の緑の中に咲く
朱色の花なので、朱色が目に染むほど鮮やかです。

 今年は例年になく早く咲きました。


 
・-・-・-・-・-・
フシグロセンノウは、  

ナデシコ科センノウ属の花で
山地の林下に生える多年草。 

名前の由来は
節が紫黒色なのでフシグロ
嵯峨の仙翁寺で見つかったので
センノウ
あわせて、フシグロセンノウということです。

分布は、本州・四国・九州
花期は、7~10月
・-・-・-・-・-・






  



 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿