今年はヤマユリの開花が遅れ、7月下旬頃から本格的に咲き始めました。8月の半ばの今は、もうほとんど終わりかけていますが、きょうの散歩のときに、最後のヤマユリが1本の茎に10個も花をつけているのを見ました。下の写真は、先月の7月25日の咲き始めの頃の写真です。
この日本の野山に咲く大輪の見事な「ヤマユリ」を見ていると、今年も咲いてくれてありがとうと、声をかけてしまいました。香りがまた芳醇なのです・・。
先日、トルストイの映画「終着駅 トルストイ最後の旅」を観たのですが、トルストイの妻ソフィアとの確執や、最後の家出の旅先での死を想うと、久し振りにトルストイの本が読みたくなり、「二老人」を、読んでみました。
この本は、二人の老人の生き方が書かれている民話です。二人の老人が、エルサレムまで巡礼の旅に出るのですが、それぞれにどのような旅をしたかというお話しです。素朴なストーリーですが、読後には、深い真理が感じられるようになっていました。
本の訳者の北御門二郎さんの「訳者のことば」が、本の後ろに書かれているのですが、興味深い内容でした。
北御門さんは、トルストイの「芸術は一部の人のものではなく、みんなの心の交流の場であるべきという考えや、非暴力主義」などのトルストイの考えに深く共感し、この民話を翻訳したということです。そして、そのようなトルストイの考えは、その後の彼自身の人生の生き方までも変えてしまったとのことでした。
トルストイは、1828年に、ロシアの伯爵家に生まれ、幼い時に両親を亡くしています。
「トルストイの生涯」というロマン・ローランの本によれば、トルストイは、どのように生きればよいのか悩んでいたときに、「幸せであろうとすれば、他人のために生きなければならない」という真理を発見したとのことですが、この言葉は、「二老人」の民話にも、通じている考えなのだと思いました。
トルストイは、その真理を、彼自身実践して生きるのは、とても難しかったようですが、トルストイ主義とも言われる彼の考えに共感し、影響を受けた人は、日本にもいて、この「二老人」を、訳された北御門二郎さんも、その「おひとり」だったようです。
「二老人」は、素朴な民話ですが、トルストイのことをいろいろと考えることができた読書でした・・・。
「二老人」レフ・トルストイ著 北御門二郎訳 あすなろ書房