2014年8月29日金曜日

短歌・「君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと・・・」  (北原白秋の林檎の香り・・・)  



 昨日、スーパーに行きましたら、早生のつがるが、もう、売られていました。山形産です。
                       


 
 りんごは、大好きなので、早速購入してきました。

 りんごは、丸い形もかわいいし、香りもよく、さくっとした歯ごたえも、味も全部、好きです!!!

 特に8月の末ころに出回る早生のりんごは、一年間待っていたという気分もあるためか、新鮮で特においしく感じられるのです。

 りんごといえば、北原白秋のこの短歌を、すぐに、思い浮かべてしまうのは、りんご好きだからかもしれません。

 「君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと
               雪よ林檎の香のごとくふれ」  北原白秋

 大好きな短歌です。
        雪をふむときのサクサク、
        りんごを食べるときのサクッ

        そして、清浄な雪の
        りんごのような香り・・・

 この歌は、白秋が恋人を雪の朝に見送るというシーンなのですが、背景には、かなしい現実があったようです。

 恋人は人妻で、当時の法律で夫から姦通罪に問われてしまうという結末になってしまったとのこと・・。

 白秋の恋人は、りんごのようにさわやかな人だったのかもしれないと、いつも思ってしまうのでした・・。
                                      




2014年8月27日水曜日

読書・「銀の匙」中勘助作 岩波文庫





中勘助さんの書かれた「銀の匙」は、わたしの好きな本の一冊です。



銀の匙は、読むたびに、新しい気づきがあり、
       こころがやさしくなれるような稀有な本だと思います。
              
              今回は、こんなところに惹かれました。


「鯛」についての描写ですが、清少納言の書いた枕草子のような
                   歯切れの良い文体になっています.。
       
 引用してみます。
   こんな文です。

引用28p
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
「鯛は見た目が美しく、頭に七つ道具のあるのも、恵比寿様が
かかえてるのもうれしい。目玉がうまい。うわつらはぽくぽくしながら
しんは柔靭(じゅうじん)でいくら噛んでも噛みきれない。吐き出すと
半透明の玉がかちりと皿に落ちる。歯の白いのもよい。」
ー・-・-・-・-・-・ー・-・-・-・

 本当に歯切れの良い文です。
     著者の中さんは幼少のころ、虚弱児で食も細かったということですが、
              そんな彼をつきっきりで我が子のように
                      育ててくれた伯母さんがいました。

    その伯母さんを、16歳になった中さんが
                   訪ねるシーンがあります。




     伯母さんは、最初は中さんとわからなかったのですが、
           わかった瞬間に涙をほろほろとこぼし、名前を呼びながら
            「おびんずる様」のように、頭や肩をなでまわしたそうです。

     そして、うれしさのあまり近所の人を連れてきて、
                中さんを紹介したり、
      魚屋へ行って、
          その店にあった鰈を二十幾匹も全部買ってきて煮魚を作り、
                お腹いっぱい食べるようにと勧めたということです。

     太宰治の、「津軽」にも、子守りだったタケを訪ねるシーンが
           あるのですが、その場面を思い出してしまいました。

      叔母さんとタケ、それぞれ愛情の表現方法は違っていても、
                        気持ちが溢れています。

     中さんの文を読んでいると、いつも懐かしいような思いにとらわれ、
            子供の頃のようなやさしい気持ちになれる不思議な本です。

      この作品を最初に評価したのは、
        夏目漱石だったということです・・。


                          


2014年8月25日月曜日

自然・かわいいタマゴタケ (2014年・・)




 きょう、散歩していますと、真っ赤な帽子の、かわいいタマゴタケが、あちこちに出ていました。




 タマゴタケを初めて見たときには、あまりにもかわいいのでびっくりしたのですが、
日本全土に出るということです。

 知人は食べたことがあるそうですが、味はいまいちだったとか・・。

 白い卵のからが割れて、中から真っ赤な帽子が頭を出しているタマゴタケの姿は、ほんとうにユニークです。
                     



 
                              

2014年8月22日金曜日

読書・「とにかく散歩いたしましょう」小川洋子著 朝日新聞社  (理想の生き方とは・・)



 うちの家族だったゴールデンレトリヴァーのサブです。13年生きて、わたしたちに、幸せな時間をいっぱい残してくれて、9年前に旅立っていきました。感謝しています・・。




 小川洋子さんのお声を初めてお聞きしたのは、「パナソニック・メロディアス・ライブラリイ」というラジオの番組でした。

 彼女が選んだ名作の楽しみ方を、番組の中で紹介なさっていて、おもしろく聴いていました。小川さんは、説得力のある彼女独特の語尾が上がるトーンで話されていて、どんな方なのだろうと思っていたのですが、先日、NHKの「100分de名著」の「アンネの日記」に出演なさっており、お姿も拝見することができたのでした・・。

 やはり、ラジオでのお声のように、真面目で誠実そうなお人柄がお姿に、にじみ出ているようで素敵な方でした。

 彼女の本を、この機会に何か読んでみようと思い、「とにかく散歩いたしましょう」というエッセイをネットで取り寄せて読んでみました。本の表紙に描かれている洋子さんとラブの姿のイラストに、惹かれたからです。

 期待していた犬のお話は、やはり、ありました・・。彼女の愛犬のラブラドールのラブは
「機嫌よく黙っていること」という小川さんの理想の生き方を示してくれたということでした。

 わたしも、いつも我が家のサブを見てそう思っていましたので、うれしくなりました。

 小川さんの「ラブ」は、14歳6か月で旅立たれたということですが、彼女にすてきな贈り物を残していってくれたようです。

 理想の生き方は、「機嫌よく黙っていること」・・・。

 同感です・・。






2014年8月20日水曜日

植物・「森のソーセージ」(ツチアケビの実・2014年)



 いつもの公園に散歩に行きましたら、林の下にツチアケビの実が赤いウインナーソーセージのように実っており、うれしくなりました。「森のソーセージ」とも言われているようです。




 姿がウインナソーセージのようなので、いつも笑ってしまうのですが、ひと月前の7月12日ころには、黄色の蘭のような花をいっぱいつけていました。




 数年前に日光に行ったときに、おみやげやさんで、ツチアケビの実が、売られているのを
見たことがあるのですが、強壮・強精薬として売られていました。

 いまでは、絶滅危惧種1A類(CR)で、環境省レッドリストになっているようですので大事にしたい植物になってしまいました。

 これからさき、ずっと残ってほしい植物です。







2014年8月3日日曜日

読書・「父の帽子」森茉莉著 講談社文芸文庫 (森茉莉のしあわせだった子供時代の回想・・・)



 森茉莉さんのエッセイを読むようになったのは、「父の帽子」を、読んでからでした。

 とくにその中の、「幼い日々」は、文章もすてきでしたが、こんな幼児期を過ごされた方がいらしたというのは、読むわたしまでを幸せな気分にさせてくれたのでした。

「幼い日々」からの引用です。
ー・-・-・-・-・-・
 毎日、毎日、新しく始まる幸せな日々だった。千駄木の家の春、夏、秋、そうして冬。
温かい土の上に、桃色の椿の散り重なる春も、岐阜提灯が庭の闇に、薄い光りを放ってい
た夏も、金色の銀杏の葉が、カサカサと透き通った空に鳴り、やがて玄関の石畳を、温か
な黄色で埋めた秋も、そうして、冷たい雨が降り、紅葉の枯葉が、庭の隅、垣根の際に吹
きよせられて色褪せ、土に塗れるとやって来る冬。白い空気と、寂しい木立に囲まれ、障
子を閉め切った部屋の中に、炭火の匂いの漂っていた冬も、私は帰るだろう父を待ち、母
を恋して暮した。
 長い、長い、幸福な日々だった。
ー・-・-・-・-・-・
           「父の帽子」森茉莉著 講談社文芸文庫 55p、56p


 何度、読み返してみても、すてきな文だと、思います。

 森茉莉さんのしあわせだった子供時代の日々のことが、詩のように書かれていて、読んでいるわたしまで、情景が浮かび、うっとりしてしまうのです。

 そして、 幸せな子供時代を過ごした人は、その思い出で一生を生きることができるという言葉を思い出してしまうのでした・・。