たしか、白檀の扇子があったはずと、箪笥の引き出しをさがしてみましたら、
古布の紙入れといっしょに、ひっそりと箪笥の片隅にありました。
白檀の扇子のことを、檀香扇(たんしゃんせん)というそうですが、扇をあおいでみますと
白檀のすばらしい香りが、ただよってきます。
扇の出てくる與謝野晶子の短歌と、久保田万太郎の俳句にこんなものがあります。
白檀の扇子のことを、檀香扇(たんしゃんせん)というそうですが、扇をあおいでみますと
白檀のすばらしい香りが、ただよってきます。
扇の出てくる與謝野晶子の短歌と、久保田万太郎の俳句にこんなものがあります。
「かたみぞと風なつかしむ子扇のかなめあやふくなりにけるかな」
與謝野晶子
「畳む時扇淋しき要かな」
久保田万太郎
與謝野晶子の歌は、「みだれ髪」に入っている作品ですが、恋に揺れ動くあやうさを、「子扇」のかなめが、表していて、彼女の情熱的でロマンチックな世界観にぴったりのすてきな歌だと思います。
久保田万太郎の句の「扇」は、なぜか彼の扇のかなめにじっと見入る姿が目に浮かぶようで、さびしげな私生活が、ひしひしと感じられます。
やはりどちらの作品も、扇の「要」に注目しているところが同じなのですが、お二人の扇を見つめる個性の違いが、おもしろいと思ったのでした。
白檀の扇子といっしょに箪笥にしまわれていた古布の紙入れも、審美眼のある叔父の贈り物でしたが形見になってしまいました。この物入れを見ると、源氏物語の絵巻物に出てくるような女性の着物姿を思い浮かべてしまうのですが、白檀の扇子といっしょに、わたしの大事な形見になってしまいました・・。
白檀の扇子を見ると、なぜか、いつもこの與謝野晶子のこの歌を思い出してしまうのです・・。
「かたみとぞ風なつかしむ子扇のかなめあやふくなりにけるかな」
與謝野晶子

















