昨日の10日に、東京で梅が開花したというニュースを聞いたのですが、こちらでも昨日梅が咲いているのを見つけました。
それにしても、東京はわかるのですが、この標高の高い那須高原で、1月に梅が開花するというのは、暖冬なのだとしみじみ思います。
この写真の背景は、夜に降った雪ですが、日中には溶けてしまいました。
ところで、「万葉集」の頃には、花といえば梅の花のことをさしていたということです。
それは、当時の日本の上流社会では、中国の文学書や哲学書が教養人には好まれていて、中国趣味があり、中国では古来、梅が学者の花とされていたので、日本でも梅が好まれ梅花礼賛ということになったようです。
万葉集の歌人・大伴旅人もやはり中国趣味だったようで、梅の花を詠んだ歌が残されています。
残りたる雪に交(ま)じれる梅の花
早くな散りそ雪は消(け)ぬとも
大伴旅人(万葉集849)
「残っている雪にまじって咲く梅の花よ
早々とは散らないでね、雪は消えてしまっても」
あみ訳
ドナルド・キーンさんは、このように英訳されています。
Plum blossoms
Lingering on the boughs
Amidst the snow-
Do not fall too quickly.
Even if the snow melts away.
また、酒に梅の花を浮かべたロマンチックなこんな歌もあります。
梅の花夢に語らくみやびたる花を我思ふ
酒に浮かべこそ
大伴旅人(万葉集852)
「梅の花が夢で語ることには、みやびな花だとわたしは思う
さあ、酒にわたしを浮かべてほしいと・・・」
あみ訳
ドナルド・キーンさんの英訳です。
The plum blossoms.
Addressed me in a dream:
`We consider ourselves
Most elegant flowers-
Please let us float on sake.`
万葉集の頃は、梅はほんとうにおしゃれな花だったのですね。
ドナルド・キーンさんの英訳は
「日本文学の歴史1古代・中世篇1」ドナルド・キーン著
から引用させていただきました。