2020年5月23日土曜日

アメジストの破片のようなミヤコワスレ・・




 ミヤコワスレは、大好きな花です。
 きょうの散歩は、小雨が降っていたのですが、すてきなミヤコワスレに出会うことができました!
   花びらに雨のしずくがかかり、アメジストの破片のようにきらきらと輝いて見えました。



 この花を最初に見たのは学生時代で、知人宅の小さな庭のかたすみにひっそりと濃いむらさき色の花をつけ、凛と咲いている姿は、とてもすてきでした。
 それ以来、好きになった花です。

 その時のイメージがずっと頭のすみにあったので、ピンクやうすいむらさきなどよりも濃いむらさきのミヤコワスレが好きなのかもしれません。





 うちの庭にも咲いているので、毎年この花が咲くのを楽しみにまっています。
 それにしてもミヤコワスレは、ミヤマヨメナの園芸品種なのに、ゆかしい名前ですよね。
 名前の由来はもう花好きの方はご存じだと思いますが、鎌倉時代の承久の乱で鎌倉方に敗れた順徳天皇が佐渡に流されたときに、父の後鳥羽上皇がお好きだった白い菊の花に似たミヤマヨメナをミヤコワスレと名づけて都を偲んだという話にちなんでいるとか・・。

 


 順徳天皇(上皇)は、順徳院という名前で百人一首にも出てくる歌人でもありました。都には戻ることができず佐渡で生涯を終えられたのですが、都忘れのこんな歌も残されているようです。 
 いかにして契りおきけむ白菊を都忘れと名づくるも憂し・・・順徳天皇

 ミヤコワスレの花の名前から、承久の乱という日本史や、歌人としての順徳天皇に思いをはせた雨の午後でした・・・。






2020年5月21日木曜日

読書・「言葉」J-P・サルトル 澤田直訳・解説 




 サルトルの「言葉」を最初に読んだのは、学生の頃でした。友人に勧められて読んだのですが、内容はもうすっかり忘れていました。




 サルトルがプルーストを熟読していたというのは、何かで読んで知っていたのですが、本を読み直してみると、プルーストに関する箇所を見つけました。

 それは「失われた時を求めて」の「スワンの恋」に出てくるスワンの言葉です。スワンが恋から覚めたとき、「好みでもない女のために一生を棒にふってしまった」というあのフレーズです。やはり、サルトルもこの言葉には、何か惹かれるものがあり使用したのでしょうが、サルトルのユーモアのようなものも少し感じました。




 サルトルは、プールーと呼ばれていた子供のころから、作家になるのが天職と思っていたようです。
 人生が始まった時、わたしのまわりには本があった、死ぬときも多分そうだろうと言っていますが、幼少の頃の本に囲まれた恵まれた環境は、彼の知性に限りなくプラスの影響を与えたのだろうと想像できました。本に囲まれて育ったサルトルが本を書くことになるのは、必然でもあったのかもしれません。
 



 この本は、サルトルが60歳近くになったときに幼年時代を書いた自伝ですが、彼が本を書く必然は自己救済でもあったようです。書くということを、多方面から考察しているのもおもしろく、一筋縄ではいかないやはり哲学者のサルトルらしさを感じながらの読書でした。




 フランソワーズ・サガンが、サルトルの「言葉」のことを「フランス文学全体の中でも最も才能に輝く書物」と言っていたのを思い出します。

 すべての言葉が結果をもたらす、沈黙も同様だという彼の言葉が、印象に残りました。




                        ※写真の花は、オオデマリです。




2020年5月17日日曜日

キンポウゲの咲くころ・・




 今朝は、カッコーの初鳴きを聞きました。
 カッコーの声は、もうすぐ季節が初夏になると、告げているようです。
 散歩のときには、キンポーゲの花たちも、金色にかがやく花びらを、風に揺らしているのが あちこちで見かけます。
 高原もさわやかな季節になりました。

 


 黄色にピカピカ光る5枚の花びらを持ったキンポウゲは、フランスでは、Boutonー d`or と呼ばれているのですが、プルーストは「失われた時を求めて」の本の中で、フランスのおとぎ話の王子様のように美しい名前と、書いています。




 この花は、十字軍の兵士がオリエントからまずオランダに持ち帰ったということですから、その後にフランスに入ったのでしょうね。
 プルーストはまたこの花を、「東方の詩情を感じる」とすてきに表現して書いていますが、日本では、放浪の句人の山頭火が、この花のことをこんな風に歌っています。

 「あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ」山頭火




  キンポウゲはわたしの住んでいるこの辺りでは、散歩道のへりや、草原になっている広場のようなところに群れて咲いているのですが、山頭火のこの歌のとおりです。

 歩いても、すわっても、山頭火のまわりにはこの黄色のかわいい花が、咲いていたのだと思います。




 キンポウゲは、プルーストの本に出てくるのを知ってから特別な花として意識するようになったのですが、季節がめぐってくるたびにこの花を見ると、元気が出てくるようでうれしくなる花になりました。













2020年5月5日火曜日

白くて小さな花と、瑠璃色の鳥・・



  昨日の散歩のとき、白くて小さな花を2種類見つけました。
  ひとつは、白いスミレです。
 



 家に戻ってから早速、「山渓ハンディ図鑑・日本のスミレ」で、調べてみましたら、「シロバナエゾスミレ」のようです。
 エイザンスミレのシロバナとか・・。


 もう、ひとつは、フデリンドウの白で、こんな小さな花でした。




 普通のフデリンドウは、うすい水色なのですが、白いフデリンドウは、初めて見たので
うれしくなりました。

 


 白くてちいさな花は、やっぱり大好きです!!!

 この散歩の途中に、オオルリの瑠璃色の姿をちらっと見ました。
 オオルリは、毎年この季節に夏鳥として、東南アジアからはるばる日本にやってきます。あのうつくしいさえずりが聞こえるほうを探すと、目が覚めるようなすてきな瑠璃色の姿を確認できました。
 



 このコロナの時期に何事もないかのように、日本にはるばる渡ってきてくれたオオルリに、感謝したくなりました。

 野草はいつものように静かに野に咲き、渡り鳥は季節が来ると渡ってくるのです。
このようなことが、すばらしいことと感じられるきょうの散歩でした・・・。