丸の内にある三菱一号館美術館に、「マリアノ・フォルチュニ織りなすデザイン展」を
見に行ってきました。
この赤いレンガ作りの美術館の入り口前は、すてきな広場になっていて、好きな場所です。暑い夏の午後の陽ざしが木々の影を、少し揺らしていました・・。
デザイナーの名前は、「MARIANO FORTUNY」です。このマリアノ・フォルチュニ織りなすデザイン展では、フォルチュニと書かれていたのですが、小説の中では、フォルトゥーニとなっていました。
フォルチュニは、1871年にスペインのグラナダで生まれています。その後、画家の父のアトリエのあるローマに住み、父の死後はパリに住んで画の勉強をしていたようです。17歳のとき、ヴェネツィアに移住した後は、ワーグナーのオペラの場面などの製作や、フォルチュニの型の製作も始め、テキスタイルのプリント工房をかまえて、「デルフォス」と呼ばれる絹のプリーツを、開発したようです。
フォルチュニの軽くてしなやかな「デルフォス」と呼ばれる絹の繊細なプリーツを施した生地のドレスは、紫や緑、アイボリー、錆びた朱色や、黒などが展示されていて、見事でした。 いまでも充分に着ることができるデザインだと、思いました。上記の写真の左の内側のドレスと真ん中の黒のドレスがそうです。右は、ステンシルプリントと絹ベルベットのフード付きケープですが、多分アルベルチーヌの着ていたコートもこんな感じだったのかなと、想像しました。
フォルチュニとプルーストは、1871年と同じ年に生まれていますので、ほとんど同じ時代を生きたようです。フォルチュニはデザイナーとしてだけではなく、版画家、舞台芸術家、写真家でもあったのですが、彼自身は、画家と語っていたということです。ヴェネツィアで暮らしていた屋敷は、いまは、フォルチュニ美術館となっていて、その屋敷で使用されていた吊りランプや、彼の絵や写真なども飾られていました。
会場で、2016年春のヴァレンチーノの「フォルチュニへのオマージュ」という
ファッションショーの録画を見たのですが、繊細でゴージャスなドレスは、とてもすばらしく、見惚れてしまうほど見事でした!!!
プルーストの小説にも出てくるようなフォルチュニのドレスの系譜は、見事にヴァレンチーノへと、受け継がれているのですね・・。