ドナルド・キーンさんの新刊が出たことを、キーンさんの息子さんが書かれているブログで知り、早速取り寄せて読んでみました。
小学館発行の和楽ムック「ドナルド・キーン知の巨人、日本美を語る!」です。
18歳のキーンさんが日本文学に初めてふれたのが、アーサー・ウエイリー訳の源氏物語で、彼は、すぐにこの物語の美しい世界に引き込まれてしまったという話は知っていたのですが、文だけではなく、美しい写真でも見れるのは、この本の良いところだと思いました。
そして後にキーンさんは、日本人になられるのですが、そのすべての縁がこの源氏物語から始まっているというのも、うれしく感じられました。
キーンさんは日本独特の日記文学について、是非読んで欲しいともこの本で言われ、鎌倉時代の女性の日記「中務内侍日記」などを紹介なさっています。
キーンさんは、日記文学については、すでに「百代の過客」という本を書かれていますが、その本のなかにもこの中務内侍日記は出てきます。
彼によれば、日記の作者・中務内侍の生きた時代の京都の宮廷は、比べるものがないほどの美的洗練の時代だったそうです。
そしてこの「中務内侍日記」の持つ気分は、この藤原俊成の和歌と同じ気分だと書かれています。
「またや見ん交野のみ野の桜狩り
花の雪散る春のあけぼの」
藤原俊成
この和歌の意味は、交野での桜が雪のように舞い散る桜ふぶきの春のあけぼののようなすばらしい光景を、果たしてもう見ることができるのだろうか・・・・
いえいえもう、見ることはできないだろう・・・
というようなことだと思います。
というようなことだと思います。
そういえば、この和歌は以前にキーンさんが新古今和歌集の中で、一番好きだとおっしゃっていたのを思い出しました。
キーンさんは、東日本大震災を契機に日本人になられたのですが、日本人の美意識を愛し、また反戦、反原発もはっきりと宣言なさる稀有な日本人のお一人になられたのだと、再認識させていただいた本でした・・・。