2016年8月23日火曜日

植物・ツリガネニンジン



 昨日は、台風が関東地方を通り過ぎていきました。

 きょうは午前中の、つかの間の晴れた時に、散歩したのですが、あちこちで、うすい紫色のツリガネニンジンが、咲いていました。





 立原道造が、詩の中で、「うすい紫の花」と書いているのはこのツリガネニンジンの花のことかなと、ふと思いました。






 ツリガネニンジンとは、花の形を釣鐘に、太い根をチョウセンニンジンに例えたということですが、何ともいえず、かわいらしい花の形です。




 立原道造の詩に出てくるのは、「V また落葉林で」という詩の中です。

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   V また落葉林で

いつの間に もう秋! 昨日は
夏だつた・・・・・・おだやかな陽気な
陽ざしが 林のなかに ざわめいてゐる      
ひとところ 草の葉のゆれるあたりに

おまへが私のところからかへつて行つたときに
あのあたりには うすい紫の花が咲いてゐた
そしていま おまへは 告げてよこす
私らは別離に耐へることが出来る と

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
            引用 立原道造詩集 角川文庫 42p



   
 引用させていただいたのは、「うすい紫の花」が出てくる詩の前半です。
 立原道造は、信州の高原を愛していて、度々訪れていたようですから、このうすい紫の花を見たのも、ちょうど今頃の季節だったのでしょうか・・。

 彼は高原と雲や風、そして高原に咲く花々を愛した詩人ですから、きっとこの花も好きだったことと思います。









      

2016年8月13日土曜日

秋きぬと・・・



 8月7日は立秋でしたが、日本のあちこちでは
まだまだ、30度以上の夏日が続いているようです。

 こちらでは、数日前から、すすきが穂を出しはじめました。




☆秋きぬと目にはさやかに見えねども
               風の音にぞおどろかれぬる

                     藤原敏行朝臣(古今和歌集169)


 わたしはこの季節になると、この歌がいつも思い出されます。。
 古今和歌集のこの歌の言葉書きには、
 「秋立つ日よめる」
 と、書いてあります。





 日本人のこういう感性って、すてきですよね。

 また、古今和歌集の「夏歌」の最後には、こんな歌が
出ています。

☆夏と秋と行きかふそらの通路(かよいぢ)は
               かたへすゞしき風やふくらん

                            (古今和歌集168)






 行く夏と来る秋が空の通路(かよいぢ)ですれちがうという
発想もおしゃれですが、そのときには、片方では涼しい風が吹くだろうと
いっているのもすてきですよね。




 ワレモコウも咲き始めました・・・。









2016年8月11日木曜日

森のソーセージが今年もできました!!!



 森のソーセージが、今年もできました。
 「ツチアケビ」の実です。




 今年の7月15日には、こんな花が咲いていたのですが、
ひと月あまりで、ソーセージになりました。




  わたしの観察しているフィールドは、近くの公園なのですが、
2か所あります。

 


 この上の写真は、その一か所ですが、実は、右の部分にあったものが数本も
折られていました。近くに折ったものがあったのですが、とても、残念です。
 
 ツチアケビを、日本のレッドデータブックで調べてみましたら、
栃木県はまだ、絶滅危惧種には指定されていませんでしたが、大事に
したい植物だと思います。

  幸いに根は残っているので、来年は全部、無事にソーセージになるのを
期待しています!! 



2000キロ・旅する蝶



 8月9日の昼前にいつもの散歩コースを歩いていましたら、ヒヨドリバナに止まっているきれいな「蝶」を、見つけました。
 羽を広げると10cmぐらいありそうなチョウでした。




          まるでアールヌーヴォーのランプを思わせるすてきな模様の「蝶」でした。




     早速、家に戻って調べてみましたら「アサギマダラ」という名前とのこと。




 「アサギ」とは、あさぎ色、うすい水色のことで、「マダラ」とは、頭部や身体の上部が白い水玉のまだら模様になっているからというのが、名前の由来でした。





 さらに調べてみると、おもしろいことがわかりました。

 何とこの「アサギマダラ」は、日本を縦断して2000キロも旅するそうです。

 春は、南から北へ
 秋は、北から南へ

 夏は涼しいこの高原で花の蜜を吸って束の間、滞在するのでしょう。




 しかもこのアサギマダラの好物は、「スナビキソウ・フジバカマ・ヨツバヒヨドリ」
など特定の花だけということです。

 この写真の花は、ヒヨドリバナですが、この花は、フジバカマやヨツバヒヨドリと
同じ仲間の植物ですので、気に入ったのでしょう。






 また、これらの特定の花の蜜を吸うのは、オスだけで、メスを誘うのに欠かせないフェロモンになる物質がこれらの植物には含まれているからとのこと。

 この写真を写したのは、8月9日で、きょうは11日ですが、アサギマダラを見ることができたのは、9日だけでした。

 蝶は、羽化後、10数日で死ぬそうです。
 南へ向かう長い日本列島縦断の旅にそなえての、束の間のひとときの姿を見れたのは、本当にラッキーでした。




 











2016年8月10日水曜日

アイラブ・盛岡 (2016年)



 8月4日最終日の「盛岡さんさ踊り」を、見てきました。




 4日の盛岡は、35度で、昼過ぎの駅前広場での
「ミスさんさとミス太鼓の踊り」は、真夏の暑さを
吹き飛ばすような笑顔が、印象的でした。




 盛岡と言えば、「石川啄木と宮沢賢治」のゆかりの地です。
駅近くには、宮沢賢治が生前の唯一の童話集「注文の多い料理店」
を、発刊した「光原社」が、あります。




 ここには、コーヒー店やお店もあり、おしゃれな異次元の空間のように
なっているところで、わたしの好きな場所です。



 奥には、青い小さなりんごが、実っていました。
 この光原社という社名は、賢治が考えたということです。
 賢治の「いーはとーぶ」とは、理想郷という意味ですが、
この場所は、そんな賢治の青春の夢が感じられます。




 わたしは旅に出ると、いつもその街の本屋さんを覘くのが
趣味です。今回も街のまん中にあるさわや書店を、訪ねたのですが、
やはり、啄木と賢治のスペースがありました。

 今回は、盛岡在住の直木賞作家の高橋克彦さんの書かれた本
「東北・蝦夷の魂」を、買いました。




 夜には、ギネスブック認定の世界一の太鼓パレードを観たのですが
日中の暑さを忘れるような心地よい風が吹いていました。



 
  詩人で彫刻家の高村光太郎は、戦後、岩手県の花巻郊外の太田村山口に
住んだのですが、「啄木と賢治」という文で、岩手の人のことをこのように書いています。

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 「この地方の人の性格は多く誠実で、何だか大きな山のような感じがします。
為ることはのろいようですが、しかし確かです。」
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 世界一という太鼓のパレードの人たちの姿は、しばらくの間、こころに
残りそうです。




2016年8月3日水曜日

わたしの好きな花・1



  レンゲショウマが咲きはじめました。
  レンゲショウマは、日本特産の1属1種の気品ある花で
大好きな花です。



  レンゲショウマを初めて見たのは、三ツ峠でしたが
山道にこぼれるようにうつむいて咲いていた楚々としたその姿は
いまでもまだ、忘れることができません。

 それ以来、あの平安貴族の女性を思わせるような
レンゲショウマは、わたしの好きな花のナンバーワンになりました。





  わたしは、以前から歌人の式子内親王が好きだったのですが、
この花は、なぜか彼女を思わせます。

 新古今集に出てくる彼女の歌です。

☆夕立の雲もとまらぬ夏の日の
      かたぶく山にひぐらしの声
                         
                 式子内親王(新古今集・夏・268)

 きょうのこちらもはげしい夕立があったのですが、その後
気温もぐっと下がりました。
 そして、雨があがるとひぐらしが鳴きはじめ、この歌と同じ情景に
なりました。





 式子内親王は、後白河天皇の第三皇女として誕生しています。
 5,6歳の頃、斎院にト定(ぼくじょう)されるのですが、
11年間の斎院生活の後、病気で斎院退下された後は、
生涯独身で過ごされたようです。


 ☆浮雲を風にまかする大空の
             行方も知らぬ果ぞ悲しき
 
                    式子内親王(前小斎院御百首)


 なぜか、胸がきゅんとする歌ですが、平安時代末期に生きた彼女の人生は
どのようなものだったのかしらと、この花を見る度に、いつも思われます。

 この花のようにはかなげに見えても、凛とした生き方だったのでしょうか・・。