2020年10月3日土曜日

読書・「日本文学史」小西甚一著・講談社学術文庫

 

   小西甚一さんの著書、「日本文学史」を、読みました。本の後ろに、ドナルド・キーンさんの解説がついていて、この本との出会いのエピソードが書かれているのですが、おもしろく読みました。



 ドナルド・キーンさんが京都に住んでいらしたとき、東京までの列車の中で何か読もうと思い、駅の本屋さんで何気なく購入なさったのが、この本との出会いだったとのことです。キーンさんは読んでみてすっかり感銘なさり、その後小西先生の自宅までも訪ねられることになったということでした。



 キーンさんは、この日本文学史は学問的でありながら小西さんの新鮮な見解がちりばめられているといわれているのですが、わたしもそう思います。読者としてもやはり、学問的であることはもちろんですが、著者の個人的な新鮮な見解を読みたいからです。




   小西さんは、この本で 「連歌の美は、花や鳥の美しさでなく、花らしさや鳥らしさの美しさなのである。」と言われていることや、日本文学を「雅」と「俗」にわけて分析なさっていることなども、新鮮な見解だと思いました。



  また、文学史にもかかわらず、道元の「正法眼蔵」をとりあげられていて、宗教的内容はともかくとしても、道元が自分の言葉で独創的に表現しているということを、価値あることとして高く評価なさっているのも、うれしく思い、印象に残りました。

 道元の弟子が書いた「正法眼蔵随聞記」は、わたしの愛読書なのですが、難解といわれる「正法眼蔵」にも興味を持ちました。


 キーンさんは解説で「文学の中心へ導く書」と、タイトルに書かれているのですが、日本文学とは何かを考えさせてくれる本でした。


 


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