フランスギクが、道端のあちこちで咲いているのをよく見かけるようになりました。この花は、ヨーロッパ原産の多年草で、観賞用として日本に持ち込まれたものが、野に逃げ出して繁殖した帰化植物とのこと。英国に住んでいたときには、OX_EYE DAISYとよんでいたのですが、わたしは、牛の目というよりは、金色の猫の目のようにも思われます。
フランスの詩人のボードレールは詩集「悪の華」に、猫の詩を3篇も書いています。その中でわたしが好きな「猫」の詩は、最後の3つ目ですが、こんな詩です。引用してみますね。
「悪の華」ボードレール 安藤元雄訳より
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「猫」 [LES CHATS]
熱に浮かれた恋人たちも いかめしい学者たちも
同じように好きになるのだ、円熟の季節が来れば、
堂々としてやさしい猫、わが家の誇り、
飼主と同じく寒がりで、同じく外出嫌いの猫を。
学問の友でもあれば快楽の友でもあって、
猫は沈黙を求め、暗闇(くらやみ)の恐怖を求める。
地獄の王(エレポス)ならば、これを柩車(きゅうしゃ)の馬に採用しただろう。
もし猫が誇りをまげて人に仕えることさえあれば。
物思いにふけるときの その気高い態度ときたら
人けのない沙漠( さばく)の涯(はて)に横たわる巨大なスフィンクスが、
永久にさめない夢の中へと眠りこんで行くようだ。
その腰は豊かに 魔法の火花にみちあふれ、
金のかけらが、砂粒のように細かく、
彼らの神秘な瞳(ひとみ)にかすかな星を光らせている。
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引用は、「悪の華」ボードレール著 安藤元雄訳 集英社文庫 175p~176p
です。
何度読んでも、この詩人は、猫の本質を理解しているようで、猫もこのように詩人に歌われたら本望かもしれないなあと、いつも思ってしまうのですが、やはり好きな詩です。
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