この青もみじは、東京都内の文京区にある永青文庫で写しました。白い壁を背景に、もみじの葉が6月の陽射しに揺れて緑のグラデーションを作っていたのが、とてもすてきでした。
大好きな吉田秀和さんの本を久しぶりに読みました。「永遠の故郷」という題名の4冊のシリーズ本の3冊目、「永遠の故郷 真昼」というタイトルです。
「歌曲」と「詩」についての考察ですが、吉田さんの人生のひとこまのことも書かれていて、自伝のようにも読める本でした。
「間奏曲」の章の書き出しは、あのいつもの吉田さん独特の、話しかけるような言葉、「ここでおしゃべりしていいかしら。」・・でした。わたしはもちろん「はい、はい、どうぞ、どうぞ。」と思わずつぶやき、苦笑してしまったのですが・・。
それは、吉田秀和さんがまだ青年のころのお話でした。
イタリアのヴェネツィアに行く途中、汽車の中で出会ったイタリアの青年に是非にと誘われ、パドヴァに寄られたとのこと。
吉田さんはそのパドヴァで、ジョットのフレスコ画をご覧になり、心底震駭なさったことから、絵画は宇宙のすべてであるというのを知り、
また、内心の深いところにあるものがとけあっている歌と踊りが、ひとつになっている姿が音楽であるということを、確信させてくれたのが、イタリアだったと書かれています。
そして、マーラーの歌曲「アントニウスの魚説法」を紹介なさり、
この曲は、あの汽車の中で知り合った青年のパドヴァでの下宿の女主人が暗示した、「踊りながら歌う」という2つのことがいっしょになった「音楽」が、思い出されるとのことでした・・。
わたしは、「告別」の章で見つけた言葉・・
「ー死はまた尽きることのない白雲の彼方にある永遠の故郷の青さに通じる不変性そのものでもあるー」
引用147p
が、心に残ったのですが、やはり、吉田秀和さんは、詩人でもあったようです・・。
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