2022年7月9日土曜日

読書・「星の王子さま」サン=テグジュペリ 内藤濯訳・岩波書店

 

 数日前から日暮れになると、カナカナカナ~と鳴くヒグラシの声が聞こえるようになりました。ようやく季節外れの猛暑が過ぎたところですが、ヒグラシの声を聞くのは、涼しげでいいなあと思います。

 5月から咲き始めたミヤコワスレが、庭のすみでまだ咲いています。花期が長いのでびっくり。切り花にしても、楚々としてすてきですが、わたしは蕾から咲き始めのころのこんな風情が好きです。




 先日、サン=テグジュペリの「人間の土地」を読んでいましたら、友人からいま「星の王子さま」を読んでいるというメールがありました。サン=テグジュペリの本は大好きで、本箱には「夜間飛行」と「人間の土地」、それぞれ2冊づつ、そして「星の王子さま」がいつも並んでいます。

 さらに数日後、メル友から届いた手紙の便箋のイラストの絵が何と、星の王子さまと羊だったのです。こんな小さな偶然にうれしくなり、早速「星の王子さま」を、ほんとうに久しぶりに読んでみました・・。 

 わたしが持っている「星の王子さま」は、箱入りの岩波書店の愛蔵版で内藤濯訳です。本の最初に、サン=テグジュペリが、友人のレオン・ウェルトにあてた献辞が書かれているのですが、今回は気になり、彼について少し調べてみました。

 レオン・ウェルトはサン=テグジュペリよりも22歳年上で、ジャーナリスト、作家で美術評論家でもあったとのこと。二人は考え方もまるで違っていたのですが、深いところで絆が結ばれていた親友だったようです。




 この本が書かれた当時は第二次世界大戦中で、フランスも困難な時期であり、ユダヤ人でアナーキストだったレオン・ウェルトは、スイスに近いジュラ地方の村に潜んで住み、飢え
と寒さに苦しんでいたとのこと。 

 サン=テグジュペリは、星の王子さまを書くことで、苦境にいる大事な友人のレオン・ウェルトをなぐさめ勇気づけたいと思ったことがよくわかりました。

かなしいことなんかいつまでも続くもんじゃない。

           きみはどんなときでもぼくの友だちなんだから。

   きみの笑い声を聞くのは、砂漠の中で水を見つけるのと同じぐらいうれしいこと。

                 夜になったら、星をみあげて・・・。                                 

   星がうつくしいのは、目にみえない花があるから・・

           砂漠がうつくしいのは、どこかに井戸をかくしているから・・

       「いちばん大切なものは目にはみえない、こころでさがさなくては」

      これらはわたしのみつけたステキな言葉です。 

              

 この本を読むと、いつもやさしい気持ちになるのですが、サン=テグジュペリの友人への思いがいっぱい詰まっているので、読むひとのこころに深く伝わってくるのだと思いました。

  



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