散歩道のあちこちで、うすいピンク色のホタルブクロが、咲いているのを見かけます。ちょうちん袖のような形でかわいらしく、ホタルを中に入れたらすてきだろうなあといつも思ってしまいます。
サン=テグジュペリの「人間の土地」は好きで、ときどき忘れたころに読むのですが、読むたびに彼の飛行機の飛行士という職業を通して得た人生観が、見事だなあといつも感心してしまいます。
サン=テグジュペリが現役で飛行士をしていた頃は、まだまだ操縦も飛行機自体も初期のころで、さまざまな困難があり、その危険にもかかわらず、郵便配達の飛行士として、活躍していたのは、空を飛ぶという魔力と魅力にとりつかれていたからなのかなあと想像してしまいます。
彼がアルゼンチンでの最初の夜間飛行の時に見たのは、星のように大地のあちこちに輝く家々のともしびだったとのこと。
そしてそのひとつひとつのともしびには、それぞれの人間の営みがあり、人間のこころの奇跡があるとまで書いていますが、わたしのいちばん好きなところです。
「人間の土地」には、8つの章があってエピソードが書いてあるのですが、それぞれのどこかに、あのサン=テグジュペリの詩人や人生の哲学者を思わせるような言葉が、星のようにちりばめられていて、胸を打ちます。
☆人は、困難のまっ只中にいても、のどがかわき、おなかがすく。クロワッサンとコーヒーのあのすがすがしい朝の食事を夢想する・・。そして、そのすてきな朝食をぼくらに与えてくれるのは、地球という星だけなのだ・・。
☆サン=テグジュペリの友ギヨメ君の壮絶な生き方から、「人間であるということは、責任をもつこと」であるという達見・・。
☆サハラ砂漠にひとりで不時着したとき、家のありがたさを夢想し、家は、人の心の中に、夢を生み出してくれるとまで思うところ・・。
☆月あかりの下で、砂漠は桃色になる・・。この言葉は、想像するだけですてきな光景が目に浮かびますが、これは、星の王子さまでは、砂漠が美しいのは井戸をかくしているからという詩人の言葉になっていました。
これらが、わたしの好きなところでしょうか。
「星の王子さま」が、サン=テグジュペリの詩人としての本だとすれば、この「人間の土地」は、彼の人間を深く考える哲学者としての本のようにも思えました・・。
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