ムラサキシキブの実が、あちこちで見られるようになりました。ムラサキシキブとは、実の美しさを紫式部にたとえたネーミングとのことですが、学名の「Callicarpa japonica」のCallicarpaとは、美しい果実という意味だそうですから、なるほどと納得でした。
散歩道に自生しているムラサキシキブは、渋いむらさき色で、ゆかしい感じがします。
実はジョージ・オーウェルのおいしい紅茶のいれ方というのは、以前にどなたかの紅茶に関するエッセイで引用されているのを読んだことがあり、ずっと読みたいと思っていた本でした。
オーウェルは完全な紅茶のいれかたには、ゆずれない11項目があると語っているのですが、それは、以下の11とのこと。
1・紅茶の葉は、インド産かセイロン産にかぎる。
2・かならずポットでいれること。
3・ポットはかならずあたためておくこと。
4・紅茶は濃いことがかんじん。
5・葉はじかにポットにいれること。
6・ポットのほうをやかんのそばに持っていくこと。
7・紅茶ができたあと、かきまわすかポットをよくゆすって葉が底におちつくまで待つこと。
8・カップは浅くて平たいのではなく、ブレックファーストカップつまり円筒形のものを使うこと。
9・ミルクは乳脂分をとりのぞくこと。(濃いミルクではなく普通のミルクということかと思います。)
10・紅茶を先にカップにいれ、次にミルクをいれる。
11・紅茶には砂糖をいれてはいけない。
彼らしいこだわりだと思いますが、英国に10年近く住んでいた紅茶好きのわたしとしても、彼の考えにほとんど賛成です。
わたしが英国に住んでいたときには、いつも英国人の友人と1週間に一度、日を決めてお互いの家で交互にteatimeをしていました。
彼女の家でのteatimeのときには、彼女が使用していたのは茶色の陶磁器のティーポットで、使い込んでいていい感じでした。彼女の紅茶のいれかたはこんな風だったのを覚えています。
・水道からケトルに水をいれて火にかけ、沸騰したら、しばらくの間火を弱めて沸騰させたままにしておく。
・その沸騰したお湯をポットにいれてあたためてから捨て、そこに分量の茶葉をいれ、さきほどの沸騰したままのお湯を注ぐ。
・スプーンでぐるぐるとかきまぜてふたをし、彼女の手編みのティーコーズィをかぶせてしばらくおく。
・カップに注ぐときには、茶こしのようなストレイナーを使い、注ぎ終えたらミルクピッチャーで普通の牛乳をいれてスプーンでまぜ、砂糖なしで飲む。
いつもそんな感じでした・・・。
紅茶といっしょに食べたいつも同じの友人の手作りのパウンドケーキの味や、庭を見ながら話した野鳥や植物の話などなど・・。あの午後ののんびりとしたお茶のひとときは、英国生活の忘れられない素敵な思い出になっています。
生活の中でTEAを楽しむ英国の文化が、ジョージ・オーウェルのいう「一杯のおいしい紅茶」に通じる生活の極意になっているのかもしれません。
彼はとても英国人らしく、生活の細部にこだわり、それを楽しんでいるというのがよくわかりました。
英国の食べ物や、気候のことなど、自虐的なこともユーモアをまじえて書きながら、彼の英国に対する愛がいっぱい感じられる随筆でした。
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