2019年1月25日金曜日

青山七恵さん・プルーストを読む環境・・




 1月19日に開催された立教大学の公開セミナー「新訳でプルーストを読破する」第9回「ソドムとゴモラⅡ」に参加してきました。




  今回のゲスト講師は、2007年に「ひとり日和」で芥川賞を受賞なさった作家の青山七恵さんでした。青山さんは、以前にプルーストを少しだけ読まれたことがあり、その時に、プルーストを読むのには、入院というような読む環境が必要だと思われたということでした。その場合、もちろん深刻な病気ではないような入院ということでしたが・・。
 



 青山さんはその後、海外の作家を長期滞在させてくれる制度で、フランスに2か月滞在なさることができ、その時に、プルーストの「失われた時を求めて」の4巻を持参なさり、読まれたということでした。




 わたしの場合は、井上究一郎さん個人全訳が出たのをうれしく思い読みはじめたのですが、時間的な環境というよりは、やはり今回の企画のように、全巻を読み進めるために、同じ本を読むメル友がいたというのが、とても励みになったのを覚えています。
 



 井上究一郎さんの記念すべき個人全訳の1冊目は、1984年筑摩書房から刊行されています。全18巻で刊行の単行本でした。

 早速、購入したのですが、単行本で読んだのは最初の1冊だけで、全巻読んだのは、文庫化されてからの、ちくま文庫の全10冊でした。





 次の鈴木道彦さんの訳のときには、もうすっかりプルーストファンになっていました。
 鈴木道彦さんは、プルーストの「失われた時を求めて」の翻訳についてこのように書かれていますので引用してみます。
「訳者にとって重要なのは、ごく限られた部分のみを走り読みして適当な論評を加える職業的な批評家ではなくて、数は少なくとも、ただ自分の生活と読書体験だけを武器に、腰をすえてこの大作をじっくりと読んでみようとするいわば素人の読者たちである。」
               ユリイカ 総特集プルースト 青土社 131p



 鈴木道彦さんのこのお言葉は、まさにわたしのことだと思い、この部分を読んだときにはうれしくなりました・・。
 
 いまは、この「新訳でプルーストを読む」という立教大学の公開セミナーに参加して、吉川一義さんの翻訳で、わたしにとっては3度目のプルーストを、第9回「ソドムトゴモラⅡ」まで読んでいます。吉川一義さん訳の岩波文庫版は、同じページに注もあり、写真も豊富で、楽しくわかりやすく読めるようになっているのが、良いと思います。




 
 2019年1月現在吉川一義さん訳のこの岩波文庫版は、13まで出ており、最終巻は2019年夏以降刊行予定ということです。
 
 プルーストのいうように、本を読むというのは、自分を読むということなのだと、しみじみと実感し、彼の世界を楽しむ読書をしています。












 
 

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