2016年10月9日日曜日

和歌・「洩らすなよ雲ゐるみねの初しぐれ・・・」   (しぐれの季節・・・)



 数日前に初しぐれが降りました。




 もう、しぐれの季節になったのだと思うと、いつも胸がきゅんとしてくるのは、 しぐれが、好きだからでしょうか・・。

 新古今集の中で摂政太政大臣良経は、しぐれの歌をこんな風に詠っています。

      「洩らすなよ雲ゐるみねの初しぐれ
                   木の葉は下に色かはるとも」
       
                           新古今集1087・恋歌二




 この歌は、言葉書きに「左大将に侍りける時、家に百首歌合し侍りけるに、忍恋のこころを」と、書いてありますので、忍ぶ恋のこころを詠っているようです。
 忍ぶ恋がなぜ、しぐれなのと思ったのですが、わたしの秘かな忍ぶ恋を初しぐれよ洩らさないでと、いっているようです。





 わたしが良経の歌に注目するようになったのは、歌人の塚本邦雄さんの書かれた「定家百首・雪月花(抄)」を読んでからです。

 塚本さんは、雪月花(抄)で、良経の歌を50首紹介し、絶賛なさっています。

 

 
 その彼が選んだ良経の50首の中のひとつです。


「おしなべて思ひしことのかずかずになほ色まさる秋の夕暮れ」
                    
                      新古今集・秋上

 塚本さんは、この歌のことをこのように書いていらっしゃいます。

     「優雅極まる侘しさ、清冽な憂鬱さ」

     「沈痛でしかも潤ひのあるこの調べこそ、まさに
     秋の夕暮、人の心の黄昏、煉獄の時間の象徴であった。」
                       雪月花(抄)の245pから引用


 良経の「初しぐれ」の歌もいいですが、この「秋の夕暮れ」の歌も、忘れられない歌になりそうです。





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