2019年7月24日水曜日

読書・「海に住む少女」シュペルヴィエル著




 7月19日から、ようやくあのカナカナカナ~と鳴く「ひぐらし」の声が聞こえるようになりました。
 昨日の散歩のときに、かわいらしいうすべに色のアジサイを、見つけました。
   今年さいごのアジサイです。
 


  不思議な本を、読みました。
 「海に住む少女」シュピルヴィエル著・永田千奈訳・光文社古典新訳文庫です。

 ジュール・シュピルヴィエルは、詩人ですが、彼の詩は、以前から好きでした。このブログにも、彼の詩「樹」を、昨年の11月に紹介しています。
 そんな詩人の彼が、本も書いていると知り、読んでみた本です。




 この本には、短い小説が10編載っているのですが、私はその中で、この本のタイトルにもなっている「海に住む少女」が、一番こころに残りました。

 主人公の少女が、海に浮かんでいる蜃気楼のような街に、たったひとりで住んでいるという不思議なお話しです。そして、読者には、彼女のさみしい孤独な生活の理由が、最後にわかるようになっています。
 
 童話のようになにげない文で、やさしく書いてあるのですが、不思議な世界にひきこまれてしまいました。シュピルヴィエルの死生観が感じられる哀しく切ない物語でした。




 ジュール・シュペルヴィエルは、1884年にウルグアイのモンテヴィデオで生まれていますが、両親はフランス人です。幼い時に、両親がなくなり、ウルグアイに住んでいた叔父にひきとられ育ててもらうのですが、教育はフランスで受けています。

 彼はフランス語の、詩集や、長編小説4冊、戯曲3編・短編小説などを残しているようです。ウルグアイで暮らしていたのですが、62歳のときにフランスにもどり、76歳で、フランスの詩王(プランス・デ・ポエット)の称号を受け、同年の1960年、76歳で亡くなっています。

 シュペルヴィエルのこの本は、読む人の琴線にふれる何かを、残してくれているように、思いました。














 














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