2020年11月30日月曜日

読書「クリスマスの思い出」トルーマン・カポーティ著・村上春樹訳/山本容子銅版画



 カポーティの「クリスマスの思い出」は、この季節になると、いつも繰り返して読んでいる大好きな本です。



 村上春樹さんの訳も簡潔で好ましく、山本容子さんの味わいのある銅版画も、チャーミングです。本の表帯には、「イノセント・ストーリー」そして、後ろには、「遠い日、僕たちは幼く、弱く、そして悪意というものを知らなかった。」と、書いてあります。



 主人公のバディーは7歳の少年の僕、そして子供のようなこころを持った60歳過ぎの女性(スックという名前ですが、この本には彼女とだけ書いてあります。)、それに犬のクイニー(オレンジと白の混ざったラット・テリア)が出てきます。

 11月も終わりになる頃、彼らは、フルーツケーキを30も焼き、クリスマスツリーの木を伐りだしてきて、ツリーを紙の手製のデコレーションで飾り、プレゼントの凧を密かに作って交換し、クリスマスを楽しむのでした。

 


 バディの貧しいけれども愛につつまれて暮らしていた無垢な少年の頃のお話ですが、バディはカポーティでもあったのだと思います。大人になったカポーティのこころの中に、いまでもあたたかく残っているかけがえのないクリスマスの思い出なのですね。




 きょうは、この本の英語の原文をネットで見つけて読んでみたのですがとても読みやすく 、アメリカでは教科書にもとりあげられているというのが、納得できました。カポーティも聴衆の前でこの本を読むのが、好きだったということです。




 カポーティの「クリスマスの思い出」は、やはり何度でも繰り返して読んでしまうチャーミングで大好きなお話でした・・・・。




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