「ジヴェルニーの食卓」という題名に惹かれて読んだ本です。この題名は以前に、ジヴェルニーにあるモネの家を訪ねたときのことを、思いださせてくれました。モネの庭は、想像していたよりもずっと広く、あの「水連」の咲く池や、藤の花が欄干にからまって咲く日本風の橋も絵のとおりでしたが、でも何よりも庭に咲く花の種類が多く、しかも見事に鮮やかな色彩にあふれていたのが、忘れられません。わたしが訪ねたときには、庭好きの英国からの団体のビジターがいらしていて、庭の花に感嘆の声をあげていました。
モネの家の緑やピンク色に縁どられた窓も画家の家を思わせてすてきでしたが、テーブルや椅子まで黄色で統一されたダイニングルームも個性的で印象に強く残っています。壁の一部には日本の浮世絵が飾られていたのもよく覚えています。
この大きな黄色の食卓は、お料理上手だったというアリスの作ったおいしい料理を、大勢の家族でにぎやかに食べた幸せな時間を思わせますが、小説の最初にこんなモネの言葉が書かれていました。
「私は有頂天だ。ジヴェルニーは、わたしにとって、輝くばかりにうつくしい国だ。」
絵も認められるようになり、趣味は庭作り、経済的にも安定したジヴェルニーでのモネのしあわせな生活が偲ばれる言葉だと思いました。最初は再婚同士の大家族で、2度目の妻のアリスが亡くなった後は、義理の娘ブランシュとの晩年の穏やかな生活、それらはみなこの食卓を囲んでのものだったようです。
モネが好きだったという朝食のオムレツや、デザートのピスタチオで作った鮮やかな緑色のケーキ、「ガトー・ヴェール・ヴェール」などが出てくるのですが、おいしそうでした。
この本には、ほかにもマティスやピカソ、ドガ、セザンヌなど興味ある画家たちのことが書かれている短編も載っているのですが、南仏に住んだマティスのエピソードもおもしろかったです。
※上の写真の黄色の部屋の食卓の写真は、ジヴェルニーのモネの家を訪ねたときに購入したこの本からのものです。↓
※最初の写真は、うちの庭に咲いていた「ボルトニア」です。
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