2024年6月2日日曜日

読書・日々の過ぎ方 堀田善衛著 ちくま文庫 (サルトルのいないパリ・・)



  ヤマオダマキが散歩道で個性的な花を咲かせています。色や形がアールヌーヴォーのランプのようだと見るたびにいつも思うのですが、繁殖力がとても強く、散歩道はあっというまにランプだらけになってしまいました・・。
 



 堀田善衛さんが書かれた「日々の過ぎ方」を読みました。この本は、1983年に朝日ジャーナルに発表されていたエッセイをまとめて出版なさったとのことですが、当時、堀田さんは、スペインのバルセロナに住んでいらしたようです。

 「不思議な訪問客」というタイトルのエッセイからはじまり、窓や広場、訪問なさった周辺諸国などの話を通して、ヨーロッパ論にまで発展してしまうのは、やはり堀田さんらしい見識の深さだと思いました。

 このエッセイは1983年頃に書かれていますので、当時の日本人の海外での猛烈な経済活動やヨーロッパの事情などもよくわかり、短い章にわかれているので、どこから読んでも、すんなりと読むことができ、しばらくの間、気軽に読む本として、楽しめました。

 堀田善衛さんの本は、いままでに「定家明月記私抄」「定家明月記私抄続篇」「方丈記私記」など読んでいるのですが、それらの本での彼の人生への深い思索や見識の深さには脱帽していました。彼のこの本のようなエッセイを読むのは初めてでしたが、やはりところどころに彼の思索の深さが垣間見え、興味深く読みました。

 巻末の「堀田善衛氏に聞く スペイン往還」で堀田さんは、「サルトルのいないパリは、何もおもしろくない。彼のおかげで、パリに文化というか、文学、思想、哲学があったのが、なくなってしまった」と語られていたのですが、わたしも彼の考えには、同感でした。ボーヴォワールも加えて、寂しく思っていましたから・・。

 サルトルのいないパリでは、今年2024年の夏、オリンピックが開かれる予定だとか・・。




 
  

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