2024年9月21日土曜日

読書・「快楽としての読書」[日本篇]丸谷才一著・ちくま文庫

 

 ノハラアザミが、咲き始めました。この辺りでは、春に咲くのがノアザミで、秋に普通に咲くのが、ノハラアザミですが、この花の生育地は、本州の中部地方以北とのこと。ノハラアザミの蜜は、ミツバチが大好きのようで、いつも花の蜜を吸っている姿を見かけます

  


 丸谷才一さんの書評の本「快楽としての読書」[日本篇]を、読みました。2012年第一刷発行と書かれていますが、新本はすでになく古本で購入・・。書評を読むのは、わたしのような本好きにはうれしいことで、この本には、丸谷さんの書評が122選も入っており、楽しい読書でした。

   書評された本の中で、わたしがすでに読んでいるのは、1「わたしの万葉集」全5冊 大岡信著、2「100万回生きた猫」佐野洋子著、3「ミラノ・霧の風景」須賀敦子著、4「椒庭秘抄 待賢門瞕子の生涯」、5「ソロモンの歌」吉田秀和著など、数冊でした。

 わたしの好きな作家である須賀敦子さんや、吉田秀和さんの本が入っていたのは、特にうれしかったのですが、須賀敦子さんの「ミラノ 霧の風景」の丸谷さんの書評は、こんな風でしたので、引用してみます。

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    息の長い、しっとりとした、趣味のよい文章で、彼女はミラノの霧の匂ひを、ガッティの優しさを、夜のヴェネツィアの運河の水音とつながれてゐる小舟の舳先(へさき)が波の上下につれて岸辺の石にこすれる音を書く。そしてもちろん亡夫とのしはわせな日々のこと。・・・・わたしはこの本によって、生きることの喜びと哀れさを存分に味はふ思ひがした。
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               引用 183p~184p

 須賀さんのファンとしては、さすが丸谷さん、須賀さんの本のエッセンスを、ぎゅっとつかんでまとめていらっしゃると思ったのでした・・。





 丸谷さんは、第二次大戦後、イギリスから雑誌が入ってくるようになったとき、日本と比べイギリスの書評欄が充実していることに感嘆なさったとか。

 そして、1951年(昭和26年)2月「週刊朝日」が「週刊図書館」という書評のページをはじめたのが、日本の書評のはじまりになったとも書かれています。
 また、丸谷さんは、この「週刊図書館」の書評欄の執筆者のお一人として、誇りに思っていらっしゃるとも・・。



 
 解説で湯川豊さんは、丸谷才一さんの書評のことを、「書評の藝の見本帖」と、書かれていますが、その通りだとわたしも思いました。

 丸谷さんは、日本の書評文化に貢献なさった方なのだと、改めて深く認識した読書でした。

 和田誠さんの招き猫が2匹のカヴァーデザインも、好感を持ちました。

  

  






 


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