今年の秋は庭の栗が、豊作でした。拾い集めておきましたら、翌日の朝には、小動物が食べたのでしょうか、食べかすが残っているだけでした。いまはもう11月も下旬、栗の季節は終わり、枯れ葉の季節になってしまいました。
11月13日に詩人の谷川俊太郎さんが、92歳で旅立たれました。わたしが谷川さんの詩集を最初に手にしたのは、文庫本の「空の青さをみつめていると」でした。
「空の青さをみつめていると」というタイトルに惹かれたからです。
谷川さんは、「詩は、理由がなく胸がいっぱいになることがある。」と言われているのを、先日、TVの追悼番組の映像で見たのですが、わたしも同感でした。わたしの場合は、胸がきゅんとしてくるという表現がぴったりなのですが・・。
また、谷川さんは「詩とは、キャッチコピーかもしれない。」とも言われていて、この言葉にも100%共感でした。
以前にもこのブログで、谷川俊太郎さんの詩・六十二のソネットの中の「空の青さをみつめていると」ではじまる41を紹介させていただいているのですが、これは彼の詩の中で一番好きな詩です。
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41
空の青さをみつめていると
私に帰るところがあるような気がする
だが雲を通ってきた明るさは
もはや空へは帰ってゆかない
陽は絶えず豪華に捨てている
夜になっても私達は拾うのに忙しい
人はすべていやしい生まれなので
樹のように豊かに休むことがない
窓があふれたものを切りとっている
私は宇宙以外の部屋を欲しない
そのため私は人と不和になる
在(あ)ることは空間や時間を傷つけることだ
そして痛みがむしろ私を責める
私が去ると私の健康が戻ってくるだろう
・-・-・-・-・ 引用66p~67p
また、わたしが谷川さんの詩で、好きなところは、平易な言葉で書かれていて、ご自分の考えをおしつけないところです。
たとえば「はる」というタイトルのこのような詩。
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「はる」
谷川俊太郎
はなをこえて
しろいくもが
くもをこえて
ふかいそらが
はなをこえ
くもをこえ
そらをこえ
わたしはいつまでものぼってゆける
はるのひととき
わたしはかみさまと
しずかなはなしをした
・-・-・-・-・ 引用26p