2025年3月17日月曜日

読書・「ユリシーズ」Ⅱ ジェイムズ・ジョイス著    丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳 集英社文庫ヘリテージシリーズ



 3月ももう半ばというのに先日は、雪が降りました。散歩道のフキノトウは、みぞれのような雪の中で、「ここにいるよ」と、健気に自己主張していました。




 ユリシーズのⅡを読み終えました。前半に登場人物のひとりのスティーブン(ジョイスの分身ともいわれている)が、図書館で文学者たちに、独自の「ハムレット論」を話すシーンがあるのですが、この部分はおもしろく読みました。

 そのスティーブンのハムレット論は、こんな感じです。

 シェイクスピアは、「ハムレット」の中で、ハムレットの殺された父の亡霊に自分を投影している。

 そして、王子のハムレットは、幼いころに亡くなったシェイクスピアの息子のハムネットに投影し、

 王妃ガートルートは、妻のアンに投影している・・と。 

 わたしは、少し前に「シェイクスピアの庭」という映画を観たばかりでしたので、シェイクスピアは、幼い時に亡くなった息子の名前を永遠に残すために、「ハムレット」を書いたのではという考えには、わたしも同感でした。



 後半の部分は、ジョイスらしく、物語ごとに文体を変え、しかも登場人物の意識の中に入って書くというような、さまざまな試みをしていて新鮮です。

 それにしてもこの物語に出てくる言葉の豊饒さには、驚くのですが、ジョイスは多分、次々にあふれてくる言葉を楽しみながら書いたのかなと思いました。

 発売当時は、この本は、アイルランドはもちろん英国や、アメリカでも発禁だったということですが、何となく頷けました。



 この本の最初の見開きにある、1920年のパリのシェイクスピア書店前で写したジョイスと、経営者のシルヴィア・ビーチの写真は、とても興味深く見ました。

 ジョイスは、彼の人柄を思わせるように、少しきどって、スーツに蝶ネクタイの姿で、丸いメガネをかけて帽子をかぶり、手にはステッキを持って、入り口の柱のところによりかかっています。

 「ユリシーズ」には、何度もトネリコのステッキが出てくるのですが、このステッキも、トネリコなのかもしれません。

 「ユリシーズ」は、1922年の2月に、この写真を写したパリのシェイクスピア書店から出版されたとのことです・・。





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