9月も半ばを過ぎ、ようやく、秋らしい気候になってきました。散歩をしていると、虫の音が聞こえてきて、秋を告げています。散歩道には秋の定番の野草の「ノハラアザミ」があちこちに咲きみだれ、ハチや蝶が次々に蜜を吸いにやってくるのを見ていると、足を止めて見惚れてしまいます。
先日、須賀敦子さんの「塩一トンの読書」という本を読んでいましたら、司馬遼太郎さんの街道をゆくシリーズの「ニューヨーク散歩」の書評が出ていました。司馬さんはドナルド・キーンさんのコロンビア大学での定年退職を記念する会での講演のためのニューヨーク訪問とのことでしたが、わたしは、キーンさんのファンでしたので、興味を持ちさっそくこの本を注文して、読んでみました。
須賀さんは、「この本がユニークなのは、日本とかかわって「生きた」あるいは、「生きている」何人かのアメリカ人を司馬さんは、愛情込めて書かれている」と、ご指摘なさっているのですが、やはりその代表は、ドナルド・キーンさんなのかなと、思います。
キーンさんは、2012年3月に日本国籍を取得し、日本人になられたほど、日本を愛していらしたのですが、キーンさんも司馬さんもいまではもう、お二人とも星になられています。須賀敦子さんもですが・・。
キーンさんの本は、20冊以上持っているのですが、その中には司馬さんとの対談本「世界のなかの日本」もあります。本のなかで司馬さんは、キーンさんのことを「懐かしさ」と、表現なさっていたのですが、わたしも、講演会でお会いした時の印象では、やはりそのような感じがしたのを思い出します。
コロンビア大学には、「ドナルド・キーン日本文化センター」があり、その設立には、バーバラ・ルーシュさんのご活躍があったというのは、知りませんでした。彼女はコロンビア大学の教授で、「奈良絵本」の研究もなさっているとのことですが、彼女のエピソードにとても惹かれました。
それは、バーバラさんが少女時代に来日なさったときに、奈良の尼寺のパンフレットの尼僧の写真に魅せられ、財布にいれて長年大事に持っていらしたそうですが、後に「御伽草子」という本に出ていた「横笛」という名前の女性であることがわかり、感激なさったとのことでした。
このエピソードにはわたしも感動してしまったのですが、司馬さんのこの本で、このようなお話を知ることができたのは、うれしいことでした。
司馬さんの街道をゆくシリーズの「ニューヨーク散歩」は、須賀敦子さんの書評から、たどりついた本ですが、キーンさんの日本の文学を世界に広めてくださった功績のことなどを改めて思い感謝してしまった読書でした・・。
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