2017年10月6日金曜日

カズオ・イシグロさんノーベル文学賞を受賞!



 カズオ・イシグロさんが、ノーベル文学賞を受賞なさいました。
 わたしが英国に住んでいたときにブッカー賞をとられた
「The Remains of the Day」(日の名残り)を、
ロンドンの本屋さんで買ったのを、懐かしく思い出しました。


 英国を代表するような職業であるバトラー(執事)が主人公で、
以前に彼といっしょにお屋敷で働いていた女中頭のミス・ケントン
との、淡い恋愛のお話しです。

 辞書をひきながら読んでいたのですが、5歳のときから
英国に住むようになったカズオ・イシグロさんが、このような
英国の真髄とも呼べるような人々の想いを、書いていらっしゃるのには、
とても感服したのを覚えています。


 その後、翻訳でも読み、映画化されたものを観たりと、ますますこの本は
思い出の1冊になりました。

映画では、セリフなどもそのまま使用されていて、英国の
上流階級で話すアクセントの執事に扮したアンソニー・ホプキンズや
女中頭に扮したエマ・トンプソンの声がまだ耳に残っています。


 物語の最後のところのシーンは特に印象的でした。

 海辺の避暑地の桟橋のところで、夕刻に色付き電球が点灯されるのですが、
その瞬間に、そこにいた人々が歓声をあげるのです。

 懐かしいミス・ケントン(いまは結婚してミセス・ベン)と、つかの間の
再会の後、雨のバス停で別れたばかりの執事のミスター・スティーブンスは、
新しいお屋敷の雇い主であるアメリカ人のところで、どのように新しく仕事に
取り組んでいけばいいのか、新たな執事としての決意をするのでした。

 日本人としての心も持っていらっしゃるカズオ・イシグロさんの
ノーベル文学賞受賞は、うれしい出来事でした。








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