2020年6月16日火曜日

読書・「音楽の光と翳」 吉田秀和著 中公文庫



 今朝は6時前に目が覚めました。窓を開けると梅雨の晴れ間の青空が広がっていて、空気がさわやかです。カッコーの声も聞こえすばらしい6月の朝でした。

 少し朝の読書をしようと思い、最近またよく読むようになった吉田秀和さんの本を無作為に選び、開いたページを読んでみると、「菩提樹の花の香り」というエッセイでした。



 吉田さんがベルリンで奥様と一年ほど暮らされていたときに、奥様が病気で入院なさったことがあったそうです。お見舞いに毎日行かれていてその帰りのある日、駅前の広場でリンデ(菩提樹)の大木が真っ白に花開き、花の香りがあたり一面にただよっていた光景に遭遇なさったとのこと・・。



 吉田さんはここで、リンデを歌ったマーラーの歌曲をご紹介なさっています。この歌曲は、詩人リュッケルトの詩に曲をつけたもので、花の香りを歌ったものでは、これ以上の作品は知らないと、書かれています。

 この歌を聴いたことがない人はとてもしあわせだとも、書かれていましたので、そのしあわせな一人であるわたしは、早速YouTubeで検索して聴いてみました。
 クリスタ・ルードヴィヒという女性が歌っていて、吉田さんのおっしゃるように、「ただ穏やかで、繊細で純粋な」歌曲でした。

 6月のさわやかな朝に、こんな静謐な歌を聴けたのは、やはりしあわせなひとりになりました。

 ここに住むようになってから、花の香りで気がついたのは、クズの花といまが満開の、コアジサイの花です。コアジサイに香りがあるとは、昨年に知ったばかりでした。




 コアジサイは、この辺りではどこにでも咲いていて、梅雨を知らせてくれる花ですが、早速我が家の庭に咲くコアジサイをパチリと写してきました。




 むらさき色の茎に、水色の繊細な花を咲かせるコアジサイは、風が通り過ぎると、さわやかにやさしく香ったのですが、吉田さんに教えていただいたリンデの歌曲のイントロの部分、♪わたしはほのかなリンデの香をかいだ・・が聴こえてくるようでした・・・。
 

 

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