今年は、サワフタギが瑠璃色の実を、たくさんつけました。毎日通る散歩道に2本もありますので、出会うのが楽しみです。雨上がりなどは、実がつやつやと光り、まるで宝石のようです。
イザベル・ユペール出演の映画「未来よ こんにちは」を観ました。映画は多分年間に300本ぐらいは観ているのですが、久しぶりに良い映画を観たなあという感じがしました。
映画を観た後で調べてみましたら、ベルリン国際映画祭銀熊(監督」賞、そしてイザベル・ユペールもニューヨーク映画批評家協会賞とロサンゼルス映画批評家協会賞、この2つの主演女優賞を受賞していました!
イザベル・ユペールは、50代後半のパリの高校の哲学教師ナタリーの役ですが、教師として、そして夫と二人の独立した子供たちとの日常の生活の様子がいきいきと描かれていて、すてきに年を重ねている姿が、印象的でした。
高校の哲学の教師といえば、ボーヴォワールもそうだったように、フランスの知的な女性の典型にも思えます。映画の中にも、さまざまな哲学者の名前や哲学書を読むシーンなどが出てきたのですが、わたしにわかったのは、アランの「幸福論」パスカルの「パンセ」そして、ショーペンハウェルの「意志と表象としての世界」ぐらいでした。
ナタリーの優秀な元教え子の田舎の家への訪問のとき、車中で歌が流れている場面がありました。ナタリーは、「いい曲ね」と教え子にいうのですが、わたしもおしゃれな選曲だと思いました。調べてみましたら、ウディ・ガスリーの「シップインザスカイ」とのこと。そのほかにも、シューベルトの歌曲「水の上で歌う」などが効果的に使われていて、音楽のセンスもいい感じでした。
日常を教師の仕事や母親の介護などで、忙しく過ごすナタリーの人生に突然起きるのは、25年連れ添ったナタリーの夫に愛人ができたことでの離婚、そして、母親の死などでした。
それらが過ぎて、一人になったとき、ナタリーは居間のいつもの長椅子にどんと腰をおろし、「これで自由!」とさわやかに宣言するのです。これからの未来を、ナタリーは、いつものように凛として生きていくのだと思いました!
映画監督は、ミア=ハンセン・ラヴという1981年生まれの40歳の女性ですが、映画の中での花束や、いちご、テーブルの上にいつも置いてある日本の土瓶とちゃわん、そして、大きな存在感のある黒猫などにも、それぞれに彼女のこだわりの視点が、感じられました。
監督のご両親も、お二人ともに高校の哲学の教師で、ナタリーのモデルは母親とのことです。なにげなく観た映画でしたが、久しぶりに出会えたすてきな映画でした。
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