「ツリガネニンジン」があちこちで、咲いています。風に揺れている姿は、まるで妖精が鳴らすかわいいベルのようです。
アランの「幸福論」神谷幹夫訳を、読みました。
「これは、わたしの判断では、世界中でもっとも美しい本の一つである。」と、アンドレ・モーロワが言っていたと、解説に書いてあったのですが、わたしもそう思います。
この本は、ずっと以前に買った本で、わたしの愛読書になっているのですが、ときどき忘れたころに、本箱から取り出して読んでいます
アランは、40年間リセ(高等中学校)で哲学の教師をしていたそうで、アンドレ・モーロアやシモーヌ・ヴェイユは、教え子とのことですが、アランのような先生に出会えたのは、幸せだったと思います。
アランが、ルーアンの新聞に毎日プロポ(哲学断章)として、連載していたのが、この本になったとのこと・・。
わたしが今回の読書で印象に残ったのは、175pの「52 旅行」というプロポでした。
アランの好きな旅というのは、一度に一メートルか二メートルしか行かないような旅で、立ち止まって、同じものを違う角度から眺めると、すべての景色が一変するので、百キロ行くよりもずっとすばらしいとのこと。
見る目が深まれば、風景は無尽蔵のよろこびを秘めていると結論しています。
これと同じようなことを、プルーストも言っていました。「発見の旅とは、新しい景色を探すのではなく、新しい目を持つこと」と、表現していました。
アランのプロポは、93もあり読むたびに、彼の哲学の思惟が味わえるやはり、美しい本だと思いました。
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