2022年5月11日水曜日

一茶の初のぼり・・・

 

  2022年4月22日、白河関の森公園で写した写真です。

     里山の上には、マシュマロのような白い雲がふんわりと浮かび、

        満開のしだれ桜とマッチして、忘れられないすてきな光景でした・・。

 


 小林一茶の句集「一茶俳句集」を読んでいましたら、こんな句を見つけました。

       江戸住(ずみ)や二階の窓の初のぼり     一茶


 一茶が江戸に住んでいた頃に見た初のぼりを詠んだ句ですが、そのころの彼はまだ自分の家もなく、もちろん子供もいなかったと思います。

 そんな一茶が見た、2階の窓に掲げられていた初のぼりは、彼の未来への憧憬もあったのかもしれませんね。

  

              
 
 
 一茶は長野の豪雪地帯の柏原で農民の子として生まれています。3歳のときに母を亡くし、8歳で継母を迎えますが、15歳の時に江戸に奉公に出て、その後、俳諧師になったとのことです。
 父の死後は、継母や弟との遺産相続のもめごとが10年ぐらい続き、その後、ようやく決着がつき51歳で故郷に戻ります。翌年、菊という28歳の女性と結婚。3男1女が生まれるのですが、みな夭折し、妻も10年後には亡くなってしまいます。一茶はとても子ぼんのうだったようで、特に長女のさとを可愛がり、「おらが春」という句文集までだしています。3度目の結婚で次女が生まれるのですが、65歳で一茶が亡くなった後だったとか・・。  

 わたしには一茶といえば、すぐに浮かんでくるのが、こんな俳句です。

    やれ打(うつ)な蠅が手をすり足をする       一茶

  痩蛙(やせがえる)まけるな一茶是(これ)に有(あり)      一茶

   蝶(々)を尻尾(しっぽ)でなぶる子猫哉     一茶

  猫の飯(めし)相伴(しょうばん)するや雀の子   一茶

 彼の生き物へのやさしい視点が、童話の中の1ページの絵のようにもみえ、好きな俳句です。

 ところで、一茶が生まれたのは、1763年の5月5日ということですが、何と端午の節句の日なのですね。最初の結婚では男の子が3人も生まれていますので、初のぼりは見ることができたのでしょうか。

 この句集は、一茶の晩年までの句を年代順に2000句選んで書いてあるのですが、彼の大変だったろうと思われる人生の歌が聞こえてくるようでした。

 






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