いつもお彼岸のころになると、彼岸花(曼殊沙華)が咲くのですが、自然の摂理の不思議さを感じてしまいます。21日に明治の森で写した彼岸花です。台風が過ぎた翌日ですが、1,2本倒れただけで、何事もなかったかのように、咲いていました。
曼殊沙花あっけらかんと道の端 漱石
漱石俳句集に出ていた句ですが、あっけらかんという表現が漱石らしくて好きです。
漱石の友人だった子規は、こんな句を作っています。
薏苡(ずずだま)の小道尽きたり曼珠沙華 子規
ずずだまとは、数珠のような実がなる植物です。子規はもう自分の命の小道がつきようとしているのを知っていて、その道のつきたところに天上の花の曼殊沙華が咲いていると歌っているのだと思います。斎藤茂吉は、曼殊沙華というエッセイの中で、子規は偉いのでこの句位に達したのだと書いていますが、このように客観的に自分の死を見つめることのできた子規の胸中を思うと、この句の重みを感じてしまいます。
わたしはどちらかといえば、漱石の人柄がにじみ出ていて、時にはユーモアさえ感じられる漱石の俳句が好きです。
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