いつもの散歩道ですが、小径のむこうから、涼やかな風が通りぬけてきそうです。
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秋きぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる
藤原敏行朝臣
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あまりにも有名な古今和歌集に出てくる藤原敏行朝臣の和歌ですが、残暑が残るこの時期にぴったりだと、いつも思います。
先日、天気予報を聴いていましたら、予報士の方がこんな話をなさっていました。「きょうは、西は夏の空気で、東は秋の空気です。」それを聴いて古今集の夏の最後のこの和歌を思い浮かべてしまいました。
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夏と秋と行きかふそらの通路(かよひじ)は
かたへすゞしき風やふくらん
みつね
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秋の空気のところは、涼しい風が吹くと言っているのですが、夏のところは、まだまだ残暑なのですね・・。
古今和歌集のよみ人しらずのこの歌も、好きな秋の歌です。
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このまよりもりくる月のかげ見れば 心づくしの秋はきにけり
よみ人しらず
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いままでは、古今和歌集よりも新古今和歌集の方が、好きな歌人の歌もたくさん載っていて好きだったのですが、最近は古今和歌集の歌もいいなあと思うようになりました。
ドナルド・キーンさんによれば、むかしのケンブリッジ大学では、日本語を読む学生は、「古今集」の序の勉強から始めたということですが、読んでみると、やはり名文でした。
序とは、紀貫之が書いた「仮名序」は、のことですが、冒頭はこんな文で始まっています。
「和歌(やまとうた)は、人の心を種として、万(よろづ)の言(こと)の葉とぞなれりける。・・・・・」
和歌は、人の心の中から生まれ、それが言葉となったものなのと言っています。
秋めくいまの季節になると、古今和歌集の和歌がなつかしく思い出されるようになりました・・。
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