散歩道のあちこちで、ガマズミの真っ赤な実を見かけるようになりました。この実が色付くと、もうすっかり秋になったといつも感じます。
俳人の長谷川櫂さんが、書かれた「子規の宇宙」を、読みました。この本は、丸谷才一さんの「別れの挨拶」という本の中の書評に、「よみごたへがあって、じつにいい気持ち」と、書かれていたので、読んでみたのでした。
正岡子規に関する本は、ドナルド・キーンさんの「正岡子規」をはじめ、数冊読んでいるのですが、この本は、俳人としての長谷川櫂さんらしいユニークな視点で子規をとらえて書かれていると思いました。
その中で、わたしが特に好きな子規の句は、
「六月を奇麗な風の吹くことよ」 正岡子規
「いくたびも雪の深さを尋ねけり」 正岡子規
そして、自虐的なユーモアさえ感じられる
「人問ハヾマダ生キテ居ル秋の風」 正岡子規
絶筆の
「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」 正岡子規
などでした・・・・。
子規は、29歳のときにカリエス(結核)になり、35歳で亡くなっているのですが、身動きのできないような寝たきりの身でありながら、「人問ハヾマダ生キテ居ル秋の風」や、「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」 のように自分を客観的にユーモアもまじえて詠うことのできた子規は、やはり魅力的な芸術家だったのだと、改めて感じたのでした・・。