「ながめつる今日はむかしになりぬとも
軒端(のきば)の梅はわれを忘るな」
式子内親王
新古今和歌集に出てくる式子内親王の歌ですが、
梅を見ているきょうの日が、昔のことになってしまっても
軒端に咲いている梅の花よ、わたしのことを忘れないで・・
というような意味でしょうか・・。
式子内親王は、わたしの好きな歌人ですが、この歌は
亡くなられる少し前に作られています。
内親王が晩年に住んでいらした大炊殿(おおいどの)には、
梅の花が植えてあったということですが、梅の花を見つめて
いらっしゃるお姿が目に浮かぶようです。
彼女はまだ幼い頃に賀茂斎院になられ、21歳のころ
病で退下なさった後、生涯独身で過ごされていますから
晩年にどんな思いで梅の花を見ていらしたのでしょう。
後年、藤原定家との仲はフィクションとして、謡曲「定家」にも
なっていますから、魅力的な女性だったのだろうと想像されます。
歌の他にも、琴を弾き、絵も描き、香もたしなんでいらした
すてきな女性だったようです。
式子内親王集には、こんな梅の歌もありますが、こちらも
何となくさわやかで好きな歌です。
☆匂いをば衣にとめつ梅の花
ゆくへも知らぬ春風の色
式子内親王
(3枚の写真は、2016年3月5日湯島天神の梅まつりで
写したものです。)
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