食べ物の中で何が一番好きかと問われたら、多分「りんご」と、答えると思います。子供の頃からなぜかりんごが大好きでした。
先日、リルケの詩を読んでいましたら、りんごが出てくる詩を見つけうれしくなったのですが、こんな詩です。
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ゆたかな林檎よ
リルケ
ゆたかな林檎よ 梨とバナナよ
スグリよ・・・・・・・これらはみんな口のなかへ
死と生を語りかける・・・・・ほのかに私はそれを感じる・・・・・
子供の顔からそれを読みとるがいい
彼が果物を味うときに。それは遠い所から来るのだ
君たちの口のなかがおもむろに名状しがたくなりはしないだろうか?
いつもは言葉があったところに 新しい発見が流れる
果肉のなかからふいに解き放されたものが
君たちが林檎と名づけているものを 敢えて語るがいい
この甘さ はじめに濃くかたまって
それを味う口のなかでそっと起ち上り
清らかになり 目ざめ そして透明になるものを。
それは二重の意味をもっている それは太陽のものであり 地上のもの 此の世のもので
もあるのだ
おお この経験よ 感触よ 歓喜(よろこび)よーーー大きな!
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引用 リルケ詩集 富士川英郎訳 新潮文庫 167p~168p
りんごは、太陽のものであり、そして地上のもの、この世のものでもあるのですね。
ロンドンに住んでいたときに、庭にりんごの木がありました。日本のように甘くて大きいりんごではなく、小ぶりでそのままかじってみると、まだ未熟で少しすっぱい味がするりんごでした。
こういうりんごなので、料理して食べるのかと思ったのを覚えています。英国では
このりんごでアップルクランブルをよく作って食べました。
そういえば、ローマ人の食事は卵で始まり、りんごで終わったということを、澁澤龍彦さんが、フローラ逍遥の中で書いていらっしゃいました。
このことから「卵からりんごまで」というのは、「始めから終わりまで」という意味になるのだとか・・・。
りんごを食べながら、いろいろなことを想う午後でした。
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