先日のプルーストセミナーで講師をしてくださった児童文学作家・高楼方子さんの書かれたエッセイ「記憶の小瓶」を、読みました。
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人の幼少期の話は、
自分の幼少期の記憶を呼び覚まします。
この極私的な回顧録に意味があるとすれば、
その一点に尽きるでしょう。
・-・-・-・-・引用 「記憶の小瓶」高楼方子著・クレヨンハウス
高楼方子さんは、児童文学者らしい視点で、ご自分の幼少期の出来事を記憶をもとに
忠実に書かれていました。
この本を読んでいましたら、森茉莉さんの子供時代のことを書かれたエッセイの「幼い日々」を思い出しました。
森茉莉さんはこのエッセイの中で、幸せだった子供のころの出来事を、こんな風に綴っていらっしゃいます。
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小さい時の思い出を書こうとすると何から書いていいか分からなくて、ただ一時に或る一つの世界が心の底に、拡がってくる。
冬はしんとした木立に囲まれ、夏は烈しい雨のような蝉の声に包まれた千駄木町の家。・・・・・・・・
・-・-・-・-・引用 「父の帽子」森茉莉著・講談社文芸文庫 11p
森茉莉さんのこのエッセイは、読むたびにいつも胸がきゅんとしてくる大好きなエッセイなのですが、最後は、こんな文で終わっています。
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長い、長い幸福な日々だった。
・-・-・-・-・ 引用 父の帽子 森茉莉著 講談社文芸文庫56p
高楼方子さんの「記憶の小瓶」は、森茉莉さんのエッセイを思い出させてくれました。
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