2018年10月9日火曜日

プルーストは、底なし沼から、金貨がザクザク・・・





 10月6日、夏の名残りの陽ざしが残る3連休の初日、「新訳でプルーストを読破する」第7回「ゲルマントのほうⅢ」に参加してきました。




      今回の講師は、やさしい語り口が印象的だった絵本作家の高楼方子さんでした。
  高楼さんは、
    
「プルーストの本は、底なし沼から金貨がザクザク」

 というような比喩をなさっていたのですが、絵本作家らしい表現だなあと思いました。




 このセミナーでは、恒例になっている参加者同士のディスカッションがあります。
 今回は、大学を卒業したてのようなお若い方がたと、お話しできたのもうれしいことでした。

 「わたしの選ぶ1ページ」では、その中のお一人と偶然にも同じところでした。




 178p
「すべての価値は、画家のまなざしのなかに存在するのだ」
というところです。



 ユリイカという雑誌の「総特集=プルースト」の中に、プルーストの死後に友人の
レイナルド・アーンが書いた追悼文が載っているのですが、その中でアーンは、こんなことを書いています。




 アーンとプルーストが田舎の女友達の城館に招待されて滞在したとき、彼はプルーストが薔薇の生垣の前で立ち止まり、いつまでも薔薇をじっと見つめていたのを、目撃したそうです。




 その時のプルーストの姿をアーンは、
「自然と芸術と人生と完全に交感する神秘の瞬間を目撃」
したのだと述べ、その後何度もこんな場面に遭遇したと、述懐しています。




 このアーンの言葉は、プルーストの178pの
「すべての価値は、画家のようなまなざしのなかに存在するのだ」

 というところと、共通するものがあるように思いました・・・。




 プルーストは、まさに底なし沼から、金貨がザクザクなのですね~・・・。
 










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