春の妖精(スプリング・エフェメラル)と呼ばれるキクザキイチゲが、あちこちで咲いています。花の色は、白とうすむらさきの2種類あるのですが、春風に揺れている姿は、どちらもすてきです。
イェイツは、アイルランドの詩人ですが、最近ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」を読んだばかりでしたので、同じアイルランド出身の詩人イェイツの詩を思い出し、久しぶりに読んでみました。
イエィツの詩に初めて出会ったのは、岩波文庫の「イギリス名詩選・平井正穂編」という本でした。
その本の中にイェイツの詩は、2篇載っており、そのなかのひとつの、「The Lake Isle of Innisfree」という詩に、とても惹かれたのでした。
その後、イエィツの詩集を購入して読むようになったのですが、やはりわたしは、あの「The Lake Isle of Innisfree」が一番好きです。
この詩は、彼の祖国であるアイルランドにある湖に浮かぶ小さな島を思い出して書いているのですが、ロンドンの街のショーウンドウに飾られていた、噴水を見て、この詩のインスピレーションが浮かんできたとのこと・・。
わたしは、噴水の流れる水音が、イエィツにとってあのなつかしいアイルランドのギル湖に浮かぶ小さな島イニフスリーに打ち寄せる、ひたひたという波音に聞こえたのかしらと、思ってしまったのでした・・。
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湖の島イニスフリー
ウィリアム・バトラー・イエィツ (高松雄一訳)
さあ、立って行こう、イニフスリーの島へ行こう、
あの島で、枝を編み、泥壁を塗り、小さな小屋を建て、
九つの豆のうねを耕そう。それに蜜蜂の巣箱を一つ。
そうして蜂の羽音響く森の空地に一人で暮らそう。
あそこなら心もいくらかは安らぐか。安らぎはゆっくりと
朝の帷(とばり)からこおろぎが鳴くところに滴(したた)り落ちる。
あそこでは真夜中は瞬(またた)く微光にあふれ、真昼は紫に輝き、
夕暮れは紅ひわの羽音に満ち満ちる。
さあ、立って行こう、なぜならいつも、夜も昼も、道に立っても、灰いろの舗道(ほどう)に佇(たたず)むときも、
心の深い奥底に聞こえてくるのだ、
ひたひたと騎士によせる湖のあの波音が。
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The Lake Isle of Innisfree
William Butler Yeats
I will arise and go now, and go to Innisfree,
And a small cabin build there, of clay and wattles made:
Nine bean-rows will I have there, a hive for the honey-bee,
And live alone in the bee-loud glade.
And I shall have some peace there, for peace comes dropping slow,
Dropping from the veils of the morning to where the cricket sings;
There midnight`s all a glimmer, and noon a purple glow,
And evening full of the linnet`s wings.
I will arise and go now, for always night and day
I hear lake water lapping with low sounds by the shore;
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