「失われた時を求めて全1冊」マルセル・プルースト 角田光代・吉川泰久編訳を、読みました。
率直な感想は、★☆☆☆☆ですが、角田光代さんのチャレンジ精神には、脱帽します!
わたしが、「失われた時を求めて」を最初に読んだのは、井上究一郎さんの訳が出たときでした。
読み終えるのに2年以上もかかったのですが、ちくま文庫で、わくわくしながら丁寧に楽しんで読みました。
井上究一郎訳・ちくま文庫10冊表紙
いままでのわたしが読んだ本たちは、いったい何だったのか・・・・・・。
最高の本だと思いました。
そして、全巻読み終えたときも、感動しました。 事実、20世紀最大・最強の小説と言われているのですが・・。
それからしばらくして、鈴木道彦さんの訳が、集英社文庫ヘリテージシリーズから出ました。 もちろん、これも全巻読みました。
鈴木道彦訳・集英社文庫ヘリテージシリーズ
読みやすいということでは、鈴木道彦さんの訳ですが、井上究一郎さんの訳は、最初にプルーストの洗礼を受けた本ということもあり、プルーストの香気が感じられるようで、好きな本です。
「失われた時を求めて」は、プルーストの絵画・音楽・文学・演劇などに対する彼の芸術観も卓越していて好きなのですが、花などの植物や料理、服装、社交界の話し・同性愛の問題、恋愛、ベネチァやいろいろなところへの旅の話しなどなど、どこを切り取っても、興味深く思索にとんでいて、おもしろく読めます。
プルーストは、本を読むことは、自分を読むことと言っているのですが、まさにそういう体験が味わえる本だと思います。
そしていつも読むたびに新たな感動や発見があり、いつまでも古くならない不思議な本です。
わたしの読書は、あちこち新しい楽しみを求めて彷徨うのですが、いつも最後には、プルーストに戻ってしまいます。
読書での戻る場所・それがプルーストで、その場所はいつも裏切らず、さまざまに表情を変えて、わたしを待っていてくれます。
幸せな読書体験は、プルーストからもらったといっても過言ではないでしょう。
興味を持たれた方は、井上究一郎さんか、鈴木道彦さん、どちらかの訳で、第一巻だけでも読まれることをお薦めします。
エピローグ
角田光代さんは、あとがきでこんなことを書かれていました。
「プルーストに興味がある人はこの本を読まないでください、そして興味のない人、興味はあるが読むつもりのない人にこそ読んで欲しい」ということでした。
ああ~っ、ここを、先に読めば良かった!(^^♪
この本は、わたしの読むべき本ではなかったようでした。
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