「ある小さなスズメの記録」は、御茶ノ水の丸善書店に立ち寄ったときに見つけた
店員さんお薦めの小さなかわいい本です。
かっては、世界的ベストセラーにもなったとのことで、著者は、クレア・キップスというイギリス人です。
2015年の1月に梨木香歩さんの新訳で、出版されています。解説は小川洋子さん。
この本は、著者のキップス夫人が巣から落とされた生まれたばかりの障害を持った雛のスズメを、スズメが老衰で亡くなるまでの12年間育てた記録です。
スズメは、クラレンスと名付けられ、第二次大戦下のイギリスで、防空壕に入って怯えている人々を、けなげな芸でなぐさめたり、キップス夫人のピアノを聞いて歌うようになったり、晩年には病気の後、歌うのは忘れてもキップス夫人に哲学者のように、話し続けたということです。
ペットは、わたしもゴールデン・レトリバーのサブを13年間飼ったことがあるので、キップス夫人の幸せだった12年間はよくわかるような気がしました。
また、わたしの場合、ペットロスも大きかったので、キップス夫人の喪失感も充分に想像できました。
スズメでも犬でもペットは、言葉はなくとも人間とこころで交流できるような思いを感じさせてくれ、それによってわたしたちに大きな喜びを与えてくれるかけがえのない存在です。
そういえば、アントワープに住んでいたときに、家の2階のスペイン風の石のテラスに、1年間ぐらい毎日のように来ていたブラックバードがいました。
わたしは、リゴーさんと名前をつけて毎日彼が来るのを楽しみに待っていました。
リゴーさんは警戒心もまったくないので、前に住んでいた方が飼っていらしたのかと思ったほどですが、真っ黒なかわいい目が忘れられません。
リゴーさんが訪ねてくれなくなった後も、いつまでもずっと待っていました。
ゴールデンレトリバーのサブも、ブラックバードのリゴーさんも、どちらもいまは、わたしにとってすてきな良い思い出になっています。
この稀有なスズメのクラレンスの記録は、わたしにとってはペットとの交流のかけがえのないすばらしさを思い出させてくれた本でした。
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