2015年12月27日日曜日

読書・かげろうの日記遺文 室生犀星  講談社文芸文庫




 今年は暖冬のようで、まだ本格的な雪にはなっていませんが、今朝はこんな感じになって
いました。




 最近、また室生犀星の本を読みだしました。今回は、「かげろうの日記遺文」です。

 この本は、あの道綱の母が書いた「かげろうの日記」を題材にしているのですが、道綱の母には、紫苑という名を付けています。



 
 紫苑は兼家に求婚され結婚するのですが、兼家にはすでに本妻の時姫がいました。後にまた、名もない町小路の女も出て来ます。

 兼家をめぐるこの3人の女性の物語なのですが犀星は、この町小路の女に冴野という名をつけ主役にしています。




 犀星の生い立ちは複雑で、消息不明の生母のことを慕っていて、この町小路の女・冴野に母への思慕を込めたようです。

 犀星は、生母にあこがれをもち、機会をとらえては生母を知ろうとし、その人のことを物語ることを忘れないでもいるとも、書いていますから、薄幸の冴野に想い入れを深くして、物語ったのでしょう。




 それにしても、この物語の犀星の言語表現の巧みさには、驚きました。 川端康成は「言語表現の妖魔」と言ったということです。
 



   「かげろうの日記」は、堀辰雄も書いていて、読んだのですが、やはり、主役を町小路の女にした犀星の物語は独特で、わたしを惹きつけるものがありました。









 

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