まだ、桃の節句には早いのですが、今年は
わたしの手作りの「つるし雛」と、うさぎの立雛を
飾りました。
中勘助さんの書かれた「銀の匙」という本に
子供の頃の桃の節句のことが、書かれています。
中さんのお宅には、神田の大火事に不思議にも
焼け残った古いお雛様があったそうです。
そのお雛様に菱餅やはぜを供えるときのうれしさ
ったらなかったそうです。
わざわざよんだお友達のお蕙ちゃんは、よそいきの
着物に赤いふさのついた被布を着て来たそうです。
二人が雛段の前に座って豆煎りを食べていると、3つ組みの盃に、
小さいのをお蕙ちゃん、なかほどのをわたしにと、おばさんにとろとろの
白酒を注いでもらい、歯でかみながら、めだかみたいに鼻を並べて
飲んだと書かれているのですが、この描写もくすっとしてしまい
目に浮かぶような場面です。
おばさんは、かわいいかわいいといって、二人の背中を撫でて
くれ、その後は、双六や、羽根つきなどをして遊んだということです。
「銀の匙」は、しあわせだった中さんの子供時代へのオマージュが
書かれているのですが、この桃の節句の描写も、好きなところです。
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