知人からサクランボをいただきました。サクランボは、洗って小皿に盛ると、ルビーのようできれいだなあと、いつもしばらく見惚れてしまいます。
主人公の恋人のアルベルチーヌが突然事故で亡くなった後、恋人と過ごした昔の出来事が、何事につけても思い出されるという切ない場面があるのですが、そこにこのサクランボが出てくるのです。
・・・・朝からかっと暑い日に耳を聾(ろう)するような物音がすると、サクランボのさわやかな味が思いだされる。・・・・・・・138p
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私は溜息をつき、それをフランソワーズにどう説明したらよいか分からなくて、「ああ!喉が渇く」と言う。フランソワーズは部屋から出てゆき、また戻ってきたが、そのとき、たえず周囲の暗がりのなかにちらついている目に見えない無数の思い出のひとつが痛ましくもどっと押し寄せてきて、わたしはあわてて顔をそむけた。彼女がリンゴ酒(シードル)と、サクランボを持ってきたのが目に入ったのだ。そのリンゴ酒とサクランボは、バルベックで農園レストランのボーイが私たちの車のところまで持ってきてくれたのと同じもので、以前なら
そうしたものを見ると、私は焼けつくような暑い日に薄暗い食堂のなかにさしこむ虹のような光と、完全に一体化したことだろう。
・-・-・-・-・-・-・ 139p
そうしたものを見ると、私は焼けつくような暑い日に薄暗い食堂のなかにさしこむ虹のような光と、完全に一体化したことだろう。
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引用「失われた時を求めて」11マルセル・プルースト
「逃げ去る女」集英社文庫ヘリテージシリーズ
鈴木道彦訳
フランソワーズが持ってきた「リンゴ酒とサクランボ」を見て、いまはもういない恋人のアルベルチーヌと過ごしたレストラン農園でのことを思い出すというシーンです。
この部分を読んだときに、わたしにとってサクランボは、「プルーストのサクランボ」になり、サクランボを見る度に主人公の切ない気持ちが、蘇ってくるようになったのでした・・。
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