「プーシキン美術館展」の本を見ていましたら、
ポール=セザール・エルーの描いた「白い服の婦人」の絵が
載っていました。
ノルマンディの保養地の海岸に白い日傘をもって佇む白いドレスの
女性の絵ですが、何となく惹きつけられました。
この本は、2005年に東京都美術館で開かれていたプーシキン美術館展に
行ったときに買ったものですが、解説のところにこの絵を描いた
ポール=セザール・エルーは、プルーストの「失われた時を求めて」に
出てくる架空の画家エルスチールのモデルになったと、書いてありました。
「失われた時を求めて」には、ノルマンディの海岸の保養地が出て
くるのですが、この絵もそういう雰囲気が出ています。
白い服の婦人は、わたしにとっては、まるで主人公の恋人のアルベルチーヌ
のようにも見えました・・。
モデルの女性は、画家の妻ということですが、青い空と、白い雲を
背景に、下から見上げるように描かれている女性の姿は、さわやかで
すてきです。
エルーは、マルセル・プルーストや、ロベール・ド・モンテスキュー
とも交流があったということですから、ベル・エポックの時代を
生きた画家でもあったのですよね。
そういえば、この絵は、ちくま文庫の「プルースト評論選」の表紙にも
使われていました。
夏の終わりのようにも感じるこの季節に、遠いフランスの海岸の保養地と、
プルーストの「失われた時を求めて」に出てくるアルベルチーヌを思い出させて
くれるすてきな絵でした。
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